中小企業が取り組むべきIT活用~データドリブン経営編
目次
データ活用でさらなる成長を実現するこれからのIT活用
第15回の担当者勉強会において、近年のビジネスを考えるためには2つのポイントを意識する必要があるとお伝えしました。
▼15回担当者勉強会記事(前編)
生産性を考慮したビジネスを考えるうえで重要な2つのポイント
「人時生産性の向上」…『人時生産性=営業利益の金額を総労働時間で割ったもの』をいかに高めるか
「データドリブン経営」…勘や経験ではなく、データに基づいた意思決定を行うこと
ITの力なくしては実現できないふたつのポイントのうち、第15回では「人時生産性の向上」に重きを置いた営業戦略のお話をさせていただきました。
▼15回担当者勉強会記事(後編)
中小企業におけるDXの本質とデータドリブン経営
DX(デジタルトランスフォーメーション)はそもそも「デジタル」と「トランスフォーメーション」二つの言葉から成り立っています。
デジタル、つまり電子化は手段、トランスフォーメーション、つまり変革が目的です。
会社が持っている情報を各種クラウドサービスを使って共有し、状況の見える化、業務の効率化をはかることで、時差出勤やテレワークができるようになったという会社さまも多いと思います。
kintone(キントーン)を例に挙げると、最新の情報がkintoneに蓄積され、案件管理の一覧を「更新日時順」に並べることで、アクションを起こせている案件と逆に停滞してしまっている案件が一目でわかるようになったり、さらにその情報を誰が更新したのか、時系列順で把握できるようになりました。
次のアクション、例えばお客様への連絡期日を設ければ、期日前に自動で通知をして仕事の抜け漏れを防止することもできます。
人や場所に依存した業務から脱却し、紙やExcelの資料を探す手間がなくなり、ステータスの管理ができることで仕事の抜け漏れや引継ぎコストを削減することができた…
これらはすべて、デジタル化による「業務の効率化」です。
DXにおいては業務効率化はあくまで手段であり、そこで立ち止まらずどのように会社を変革させるか――つまり「どうやって事業の価値を上げるのか」が重要になってきます。
ここまでは「これまでのIT活用」、あくまで「業務効率化」のIT活用です。
なぜなら、表示されている情報はあくまで「現時点」のみであり、会社全体で案件数は増えているのか、減ってるのかといった情報や、Aさんはたまたま今月だけ忙しいのか、それともここ数か月ずっと立て込んでいるのか、過去を見たときにこの件数が多いのか少ないのか?という「変化」を見て取ることはできないためです。
「変化」を可視化するために、この担当者のグラフに「月ごと」という視点を加えると、以下のようなグラフになります。
時系列と変化の幅を見ることで、変化の背景には何があったのか、ここからさらに伸ばすためにはどうすればいいのかというストーリーを意識していくことが必要になってきます。
もう一例を見てみましょう。
経営理念にも掲げる通り、「伊勢からITで日本を元気にする」のがコムデックですので、圧倒的に伊勢市のお客様が多い状態であることがわかります。
さらに、三重県を除いて集計した右のグラフを見ると、かつては愛知のお客様だけだったのが、近年では広島のお客様も増えていることが見て取れます。
この変化から、コムデックの提供できるサービスは県外のお客様にも訴求できるようになってきたが、東京や大阪等へ進出するためにはまだアップデートする必要があるのではないか?といった仮説を立てることができます。
「これからのIT活用」のポイント
これまで会社、その事業がどのように変わってきたのかを把握し、その情報をもとに「この先自社がどう変わっていくのか、何が向上していきそうなのか」を捉え、そこに向かって行動をおこすことができるのです。
「いつ、だれが、何を、どこに、どのように売ることが自社の価値を高めるのか?」を判断するためには、まずそのデータの見える化が不可欠です。
すなわち、これからのIT活用においては「変化を可視化」し、「どう変化していくか」をマネジメントすることが重要になります。
それに併せて、事業の価値判断についても「ある時点」の数値だけではなく、「どれだけ伸びているのか?」という部分に着目すると、さらにDXを進めることができます。
例えば、「昨年と比較してどれくらい伸びているのか」「事業別に見たときはどうか」という視点や、「目標比の推移、同業他社の実績と比べてどうなのか?」という切り口で見ることで、以下のような判断が可能となります。
こういった、将来への予測と判断をデータから行うことができます。
過去の成功体験の延長線上に未来の成長があるとは限りませんが、先ほどの例のような状況で、A事業変化を把握できているかどうかでお客様に提供できる付加価値が変わってくる