kintoneによる宿泊費管理で原価集計の効率化を実現|建設業 協成工業株式会社さまのアプリ開発事例
遠方の現場への長期出張・宿泊が発生する建設業では、宿泊費を含めた原価集計が必要になります。
管理すべき宿泊対象者も現場の規模によって異なる他、ひとつの現場で複数の宿泊施設を予約するケースも少なくありません。
宿泊施設ごとや部屋ごと、曜日によっても宿泊費は変動する上、急なキャンセルが生じた場合には協力業者にキャンセル費用を請求する等、管理が煩雑になりがちです。
そのため、宿泊費をエクセルで管理している企業さまも多い一方で、「宿泊費や原価管理が面倒…」「都度集計に時間がかかる…」と不満を抱えている総務経理担当者の方も多いのではないでしょうか?
宿泊費の管理は原価管理に直結します。
原価集計を簡略化したいときは、宿泊費を含めてkintoneで管理するのがおすすめです。
今回は、kintoneで宿泊管理を一元化したことで原価管理・集計にかかる手間を大幅削減し、効率化を実現した建設業の企業さまのアプリ開発事例を紹介します。
目次
kintoneによる原価管理で大幅な業務効率化を実現!続いての課題は「宿泊費管理」
協成工業株式会社さまは、岡山県倉敷市に本社、浅口市に工場を構える建設業の企業さまです。
岡山県を中心に、社会の基盤を担う重化学工業プラント、環境プラントに関する企画や設計、さらに製造から建設、メンテナンスまで幅広く事業を行っています。
kintone導入前の協成工業株式会社さまは、原価管理をエクセルで行っていました。
エクセルでの原価管理は、数字を書き換えるたびに手で集計が必要だったり、何度も転記が必要だったりという手間が生じがちです。
当時の協成工業株式会社さまが抱えていた原価管理の課題
- 情報が散逸してリアルタイムでの数値把握が難しい
- 集計作業に時間がかかる
- 過去の原価管理が正確でなく、新規の見積り精度が低い
- データが複数のエクセルに分散しており、最新情報を検索できない
これらの課題を解決するために導入したのが、各種データを一元化できるクラウドサービス「kintone(キントーン)」です。
本来なら、一から自社の業務に合わせたアプリを構築していく必要があるkintoneですが、協成工業株式会社さまでは建設業の業務で使えるいくつかのアプリがまとまった「建設業業務改善パッケージ」を導入し、さらに利便性を高めるべくkintone対面開発でカスタマイズしたことで、原価管理の自動集計を実現しました。
原価管理をエクセルからkintoneへ移行したため運用開始直後は仕様変更に苦戦しましたが、集計結果が正しいかどうかの確認を重ねる中で操作方法にも慣れていただき、今ではkintoneを軸にして経理業務が動いているとのことです。
kintone導入からシステム構築までに半年ほどの時間がかかったものの、自社に合った仕組みを作り上げることができました。
脱エクセルによって、従来の方法では膨大な時間を費やしていた請求書の確認作業が3分の1に!
大幅な作業削減、原価管理の効率化を実現した事例となりました。
ここまでの取り組みはこちらの記事で詳しく解説しています!気になる方はぜひご覧ください。
▼kintoneで原価集計を自動化!脱エクセルで原価管理にかかる時間が3分の1に | 建設業 協成工業株式会社さまのkintone活用事例
原価管理の中心となる従業員の工数管理や協力業者の請求管理、その他材料費や燃料費等の細かな請求書管理もkintone化した協成工業株式会社さまですが、まだエクセルで管理を続けている原価がありました。
それが、工事現場の期間中発生する宿泊費の管理です。
今回は、これまでに作成してきた原価管理のうちの一部である宿泊管理にフォーカスして、以下のセクションで紹介していきます!
宿泊費を管理しつつ原価集計…時間・コストがかかる作業を削減したい!
協成工業株式会社さまをはじめ、建設業の勤務地は事務所の外である現場がメインです。
事務所で業務を行う社員よりも現場で働く社員の方が多く、現場によっては宿泊を含む長期出張があることも少なくありません。
建設業の原価管理では、当然社員が宿泊する際の宿泊費も含めた集計が必要となります。
また、協成工業株式会社さまの場合には、協力業者の宿泊施設予約も協成工業株式会社さまが実施し、費用も負担していました。
そのため、管理すべき宿泊予約と費用は実際の社員の倍以上。
宿泊施設からの請求書の金額を原価管理に入力するだけなら簡単ですが、宿泊施設から届いた請求書が正しいかどうかをチェックするためには自社でしっかりと記録をつけておかなくてはなりません。
それに、請求書が届くのはまとまった宿泊期間の後であることも多いため、リアルタイムな原価管理を行うためには日々の宿泊費用を請求書とは別に管理しておく必要があります。
しかし、冒頭でお伝えした通り宿泊費は一律ではなく、宿泊施設・曜日・部屋のタイプごとで異なります。
また、一つの工事でずっと同じ宿泊施設なら管理も楽ですが、実際には複数の宿泊施設を移動することもあり得ますし、工事状況や作業員の事情に応じて急にキャンセルしなくてはならず、キャンセル料が発生するケースもあります。
これらの事情も勘案しながら日ごとに変動する宿泊費を管理しつつ、原価集計を行うことは容易ではありません。
協成工業株式会社さまでも建設業の例に漏れず宿泊費の管理と原価集計には手間と時間がかかっていました。
そこで、「宿泊費もkintoneで自動的に原価集計できるようにしたいが、そのためのデータ入力については手間なくできるようにしたい」という要望のもと、宿泊管理を簡略化できる仕組みづくりを検討。
kintoneで宿泊費管理を一元化し、原価集計による社員の負担や社内コストの削減を目指しました。
krewSheetで宿泊費の入力を簡単に!Xrossモードで一括入力
協成工業株式会社さまが元々利用していた宿泊管理エクセルがこちらです。
現場別にエクセルファイルを作成し、その中で宿泊施設別の日別表を作成、さらにその中で協力業者別に誰がいつどこに泊まったかがわかるようになっています。
金額はその宿泊施設の日ごとの合計金額を記載しており、特記事項があればコメントで記載します。
原価管理をエクセルで実施していた時には、現場別の合計金額を現場ごとの原価管理表に転記していました。
このエクセルに集約された情報をkintone化するにあたり、協成工業様ではkrewSheet(クルーシート)を導入しました。
krewSheetは、kintoneをエクセルのように操作できるプラグインです。
ほとんどエクセルと同じようにコピー&ペーストや絞り込みを行うことができるため、「kintoneは操作しづらい、仕様に慣れるまで大変」と感じる方でも違和感なく移行していただくことができます。
ところが、krewSheetを適用しても、協成工業株式会社さまが元々使っていたエクセルをそのまま再現するのは難しいのが現状でした。
krewSheetのXrossモードを使うことで、縦軸に協力業者や人、横軸に日付を配置して入力することはできますが、ひとつのシートの中で複数情報を入力しようとすると入力項目が横並びになるため、例えば「1日」の列が「宿泊施設」と「金額」の2列に分かれます。
これでは、krewSheetの強みである「エクセルと同じように引っ張って一括コピー」を使うことができません。(縦にコピーはできますが、横に一括コピーが難しい)
krewSheetの強みを生かすためには、入力する情報は一種類に絞る必要があります。
そうすると、一つのシートの中で「泊まった宿泊施設がどこなのか」と「宿泊したかどうか(〇か空欄)」、「金額」などの複数情報を一気に入力することができないのです。
かといって、「一人一日一行(1レコード)」の形式で対象者や宿泊施設、金額を登録していくのは、長期に渡る現場も多い建設業の宿泊管理には向きません。
「入力のしやすさ」と「その後の原価管理までデータを利用する」ことを両立するためには、現在の形式に囚われすぎないアプリ構築が必要となります。
そこで、協成工業株式会社さまでは、日ごとに「誰がいつどの宿泊施設に泊まるのか」と「金額がいくらだったか」を入力する一覧を分割することにしました。
入力する情報を一つに絞れるのであれば、以下の表のようにkrewSheetで一括入力が可能です。
こちらは「誰がいつどの宿泊施設に泊まるのか」の一覧で、工事別、協力業者別に誰がいつどこの宿泊施設に泊まったかを一日ごとに入力できるようになっています。
基本的には同じ宿泊施設がずらっと入りますが、宿泊施設側の事情等で移動を余儀なくされるケースもあり得ます。
そういったイレギュラーにも対応できるように、日ごとの入力ができるようになっています。
続いて、こちらは宿泊費の管理画面です。
宿泊施設の入力画面と同じように、工事別、協力業者別に一人一人の宿泊費を入力することができます。
一日ごとに入力ができるため、週末等で金額が変わる場合でも柔軟に対応が可能です。
入力画面はそれぞれ異なりますが、これらは同じ1つのアプリとなっています。
これらの情報をまとめて確認するための画面がこちらです。
2つの入力画面が合わさり、1日の中で宿泊施設入力欄と金額入力欄が横並びになっています。
こちらの画面を見れば「誰がどの宿泊施設でどのくらいの宿泊費がかかったのか」をひと目で把握できます。
もちろんこの画面でも入力は可能です。
ただ、一括で入力するのであれば「宿泊施設入力用の一覧」「金額入力用の一覧」の方が利便性が高くなります。
シーンに合わせて入力画面を自在に設定できるのも、kintoneとkrewSheetの強みの一つです。
kintoneで宿泊費管理を一元化するメリット
kintoneで建設業の宿泊費管理を一元化するメリットは、宿泊費の自動集計により宿泊施設から届く請求書との突き合わせを簡単に行えること、そして何より原価集計を自動化し、リアルタイムで正確な原価算出を実現できることです。
kintoneで入力された情報は、宿泊施設(請求元)別に自動的に集計されます。
そのため、宿泊施設から届いた請求額が正しいかどうかをすぐに確認することが可能です。
金額が異なっていた場合も、日ごとの金額を見ていけば要因を特定することができます。
確かに、「入力の手間」という観点だけで見るのなら、同じ画面で一気に入力できたかつてのエクセルのほうが利便性が高いかもしれません。
しかし、kintoneなら入力された宿泊費は現場別に自動集計され、原価管理に反映されます。
登録すれば間違いなく原価に反映されるため「原価集計のための計算」が不要となるのです。
入力もkrewSheetのXrossモードを使うことで極力手間がかからないようにしているため、トータルの手間と言う意味ではメリットが大きいと言えるでしょう。
kintoneによる宿泊費管理で原価集計を効率化しよう!
建設業に欠かせない宿泊費管理をkintoneで一元化すれば、リアルタイムで原価集計を行えるようになります。
エクセルや複数のシステムで管理している場合に生じる転記や集計といった作業も、kintoneを活用すれば不要です。
「エクセルに慣れているから仕様が変わるのに抵抗がある…」といった企業さまは、krewSheetを活用することでエクセルとほぼ同じ操作性のままkintoneへのデータ入力を行うことができます。
エクセルそのままをkintone化するのは難しいかもしれませんが、「どうすればエクセルのような入力利便性を損なわずにkintone化できるか」を検討してアプリを構築することは可能です。
宿泊費を含めた原価管理・集計をエクセルで行っているのなら、kintoneの導入を検討してみてはいかがでしょうか。
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