kintoneで原価管理を実現!脱エクセルで月20時間削減へ|環境・リサイクル関連装置製造販売業 タイチマシナリー株式会社さまのアプリ開発事例
エクセルは、あらゆる業務に適応し多くのユーザーが利用している汎用性の高いソフトウェアです。
一方で、複数のデータを連携するような使い方に弱く、また、複雑な計算式やマクロの作りこみにより、それを作成した担当者以外は使い方や修正方法が分からない、手がつけられないという属人化に陥りやすい傾向があります。
これらの不便さを感じながらも、多くの企業はいまだにさまざまなデータ管理をエクセルで行っているのが実態です。
今回は、もともとエクセルで行っていた原価管理をkintone化し、プラグインも活用することで月20時間もの業務時間削減に成功した事例をご紹介します。
目次
kintone×販売管理システム連携で二重入力ゼロへ
神奈川県横浜市に本社を構えるタイチマシナリー株式会社さまは、リサイクル設備の建設から改修・メンテナンスまで幅広いサービスをてがける環境再資源装置のエンジニアリング企業です。
プラント設備の設計に多数の実績を持ち、確かな知識と技術力で、環境に配慮した工場設備の設計や、お客様によりそったコミュニケーションで課題を解決していきます。
タイチマシナリー株式会社さまは、これまでにもkintone(キントーン)を活用し、業務のDX化を推進してきました。
コムデックラボでも取り上げているのは、販売管理システムをkintoneに連携し、二重三重の入力が必要だったエクセル原価管理から脱却した事例です。
▼販売管理システムとkintoneを連携させて原価計算を劇的改善|環境・リサイクル関連装置製造販売業 タイチマシナリー株式会社さまのアプリ開発事例
当時、タイチマシナリー株式会社さまで行っていた原価管理は、バラバラに管理されている複数の原価の情報を目視で確認し、エクセル入力をしていく方法をとっていました。
原価管理のために社員1名とパートさんが毎日付きっきりになっていたため、実質原価管理のために毎月20万円のコスト(担当従業員の給与分のコスト)が発生している状態です。
この課題を解決すべく、エクセルで作られた原価管理システムの仕組みをkintone化し、販売管理システムと連携することから改善を始めました。
システム連携により、これまで原価管理のために同じデータを二回以上入力しなければならない状態から、販売管理システムに登録した売上伝票や仕入伝票のデータがリアルタイムでkintoneに自動登録されるようになり、入力の手間を大幅に削減することができました。
販売管理システム側でデータの変更があれば、そのデータもkintoneの原価管理システムに自動で反映されるため、修正の手間も一回で済みます。
また、データをそのまま連携するだけではなく、販売管理システムに登録する売上伝票や仕入伝票には、kintoneに登録されている案件情報を紐づけることができる仕組みになっています。
これにより、kintone上で自動的に案件別の集計ができるようになりました。
売り上げの情報と仕入の情報は販売管理システムから自動連係できるようになりましたが、原価管理に必要な情報はそれだけではありません。
例えば、現場に行くときのガソリン代や高速代といった交通費も原価の一部。タイチマシナリー株式会社さまでは、それらの情報はまだエクセルで管理している状態でした。
交通費はエクセル管理……kintoneで自動化したい
販売管理ではカバーしきれない、交通費等の原価もkintone化したいと考えたタイチマシナリー株式会社さま。
車移動が基本のタイチマシナリー株式会社において、交通費を割り出すためには、日報に記載された「いつ、誰が、どこからどこへ、どの車両を使って移動したのか」という情報を基に、エクセルで作られた台帳を目視で確認して金額を算出する必要がありました。
台帳とは、「出発地」と「到着地」をマトリクス表にしてどれだけの距離や料金がかかるかをあらかじめまとめたもので、現場が増えるごとに行と列を増やす必要がありました。
例えば、こちらの画像は「走行距離」を知るためのシートです。
縦軸が出発地、横軸が到着地で、数字は「走行距離」にあたります。
他にも、同じような「高速軽自動車料金」、「高速普通車料金」、「高速中型料金」のシートがあり、これらのエクセル台帳を人間が目視で調べて原価を割り出す作業を行っていました。
ガソリン代金の計算は「走行距離」のシートを参照して距離数×単価で計算を行い、高速道路利用料金は移動に使った車種(軽自動車、普通自動車、中型自動者)に合わせたシートを参照し計算します。
タイチマシナリー株式会社さまでは、これらの交通費の原価を算出するのに、月20時間もの工数が発生していました。
交通費の台帳をkintone化、krewSheetのXrossモードでエクセルと同じ操作感を実現
この交通費の原価管理作業を効率化するために、まずはエクセルの台帳を目視で参照する作業を見直しました。
エクセルの台帳データは、「出発地」「到着地」の組み合わせに対して距離と料金が分かれば良いため、以下のようにシンプルにアプリ化。
出発地と到着地はマスタのアプリからルックアップしてくることで、記載揺れ等が起きないようにしている他、これまでは3つのシートに分かれていた情報をひとつのレコードで登録できるようにしています。
出発地、到着地を組み合わせて1レコードとして登録する形のため、一覧の表示は以下のようになります。
元々のエクセルでは、出発地と到着地がマトリクス表になっているため、登録されていないところがあれば一目でわかりました。
しかし、kintoneの標準機能の一覧の場合、「登録されていない組み合わせがどれなのか」をパッと判別するのは難しく、登録漏れが懸念されます。
1つのレコードに持たせる情報としては問題ありませんが、全体で見たときの利便性を考えて、タイチマシナリー株式会社さまではkrewSheet(クルーシート)を導入しました。
krewSheetとは、アプリのデータをエクセル感覚で一覧表示・コピー&ペーストや編集できるSheetモードや、データを集計して編集できるピボットテーブル表示が可能なkrewSheet Xrossモード(クロスモード)を搭載したkintoneのプラグインです。
今回は出発地と到着地の組み合わせに漏れがないか確認しやすいように、krewSheetのXrossモードを採用。
走行距離、車種別の高速料金の表もそれぞれ作成し、従来のエクセル台帳に近い形にすることで入力効率を大幅に改善しました。
krewDataで日報を参照し自動で交通費を算出、原価集計も自動化!
エクセルの台帳のkintone化はできましたが、それだけではまだ「日報に入力された情報を元に、kintone上の台帳を目視で確認する」必要があります。
そこも含めて自動化するためには、kintone上にも「いつどの車両でどこからどこへ移動したのか」という情報が必要です。
そこで、kintoneの日報に「使った車両」と「どこからどこへ移動したのか」を入力する項目を追加しました。
このとき、「出発地」「到着地」は交通費の台帳同様マスタのアプリから参照してくる形にしています。
これにより、交通費を算出するためのデータがkintone上に出揃いました。
そこから先の交通費算出には、複数アプリの情報をとりまとめて集計等ができるkrewData(クルーデータ)を活用しています。
krewDataとは、複数のアプリ間のデータを連携するkintoneのプラグインで、各アプリに収録されているデータを指定した条件(フロー)で自動集計できます。
今回は、日報で登録した出発地と到着地の組み合わせ、利用した車両の車種を元に自動で台帳を参照して金額を算出するフローを作成しました。
タイチマシナリー株式会社の場合には、冒頭でご紹介した原価管理のために構築したkrewDataの自動集計フローに、今回の交通費集計のフローを付け加えることで、原価集計業務全体を一括で自動化しています。
日報の情報から交通費を自動算出するにあたり注意すべきところは、どれだけ日報にきちんと出発地と到着地、車両を登録してもらっても、「そもそもの台帳のアプリに金額や走行距離が登録されてなければ原価に反映されない」という点です。
そこで、登録漏れによる未集計を防ぐため、原価集計時に合わせて「走行距離や金額が未登録の一覧」を自動抽出しています。
この一覧を確認することで、台帳に登録すべき出発地・到着地の組み合わせを一目で把握し、登録漏れを是正することが可能です。
kintoneで原価集計を行う効果とは?
原価管理をエクセルで実施している企業様は多くいらっしゃいますが、集計すべき情報が多く、さまざまなデータから取得・集計する必要がある場合には、情報収集だけでも大幅な工数が発生してしまいます。
今回のタイチマシナリー株式会社さまのケースでは、走行距離から割り出されるガソリン代や利用した車種によって異なる高速道路利用料金など、複数の要素で決定される原価を目視確認によりエクセルの台帳から取得していました。
月20時間かけていた交通費の原価計算ですが、まずは算出の元となる台帳をkintone化し、krewDataで日報のデータとつなげることで自動化に成功。
大幅な作業工数の削減を実現しました。
kintone化によってデータの更新スピードがあがり、現場が動いている途中でも原価の状況が分かるようになったため、予算の消化状況を見ながら対策をとることができます。
しかし、最大の効果は「原価管理が自動化されたこと」ではありません。
これまでは原価を算出することで手一杯でしたが、作業工数を削減できたことで、それまで原価管理にかかっていた時間を「原価の分析」、つまり結果からの振り返りに使えるようになりました。
社員がより生産性の高い分析などのコア業務に集中できる時間を生み出せたことが、原価管理の自動化による最大の効果と言えます。
連携やプラグインを上手く使って原価管理をkintone化しよう
タイチマシナリー株式会社さまの事例では、krewsheet Xrossモードを用いることでエクセルの台帳をkintone管理に移行することに成功しました。
それに加えてkrewDataによる自動集計も設定し、 今まで人間が目視で確認していた原価データの自動集計を実現。
販売管理システムとも連携することで人的ミスを減らしながら作業工数の大幅削減を実現しています。
最終的には、自動化によって削減された工数をより生産性の高い業務に活用できる環境が整いました。
複雑なデータ処理を伴う原価計算では、kintoneの標準機能だけでは対応が困難なケースもあります。
しかし、適切なプラグインや専門のソフトと連携することでこれまで以上に効率的に原価管理をおこなうことが可能です。
「複雑な原価計算を効率化したい」、「原価管理システムと他の情報の連携をはかりたい」とお考えの事業者さまは、是非、一度kintoneの活用を検討してみてはいかがでしょうか?
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