エクセルを使用した複雑な原価管理をkintoneで自動化、ダッシュボードで見える化まで実現|建設業 協成工業株式会社さまのkintone活用事例
同時に複数の現場で工事が進行する建設業では、携わる協力会社や人が多く、また工事の進行状況などさまざまな要因で人数が変動的であるため、原価管理が複雑になります。
届いた日報から現場毎に工数を集計していく作業を手動で行うのは、時間も手間もかかります。
kintoneを導入して建設業の複雑な原価管理を自動化すれば、これまで時間を要していた作業を減らし、業務の効率化を図ることが可能です。
そこで当記事では、「自社・協力会社の日報のkintone化」「請求データの自動作成」を経て原価管理を自動化することで、集計にかかる時間が0になり、大幅に業務の効率化に成功した事例をご紹介します。
目次
エクセルで行っていた複雑な原価管理を自動化し、経理担当の業務負荷を軽減したい
協成工業株式会社さまは、岡山県に本社を構える建設業の企業さまです。
社会の基盤を担う重化学工業プラント、環境プラントに関する企画、設計、製造、建設、メンテナンスまでをトータルで行っており、その幅広い技術を優れたコストパフォーマンスで提供されています。
エクセルで原価管理を行っていた協成工業株式会社さまは、業務にかかる時間と手間が多いことから、経理担当者の負担を軽減できないかと頭を悩ませていました。
協成工業株式会社さまが抱えていた原価管理の課題は以下のとおりです。
- 複数のエクセルで原価管理を行っていたため、二重・三重に原価を入力する手間がかかっていた
- 請求書・日報を手動で集計する必要があった
- 協力会社からの請求内容が合っているかは日報と照合しなければならないため、確認に時間を要していた
これらの課題に対して、kintone(キントーン)を導入することで自動化できるところは自動化し、経理担当者の負担を軽減できないかと考えました。
日報・請求書データのkintone化を踏まえて原価管理の自動集計を実現
協成工業株式会社さまでは、建設業の複雑な原価管理を自動化するため「建設業業務改善パッケージ」を導入し、以下の5つの原価管理に関わる情報をkintoneで管理できるようにカスタマイズ。
複数のエクセルに情報を入力しなければならず、データの確認に時間を要していた原価表を自動で集計できるようになりました。
協成工業株式会社さまがkintone管理に切り替えた情報社員日報
- 協力会社日報
- 請求書突合データの作成
- 振込で支払う請求書
- 口座振替や現金で支払う請求書
協成工業株式会社さまがまず取りかかったのは、社員日報のkintone化です。
多くの建設業の企業さまと同じように、協成工業株式会社さまでは社員日報の集計をする際に集計用エクセルを作成して、手計算で確認を行っていました。
社員日報をkintone化することにより、これまで手動で行っていた管理・集計がボタン1つで可能になりました。
さらに、日報データを元に給与計算用のデータもkintone上で作成して「マネーフォワードクラウド給与」にデータを取り込むことで、Web明細書の発行までオンラインで完結できるようになっています。
kintone化により、手作業による人為的ミスを防ぎつつ、集計時間の大幅な削減に成功したのです。
社員日報アプリの作成と集計の自動化についてはこちらの記事で詳しくご紹介しています!
▼kintoneの勤怠管理で社員日報集計にかかる工数を大幅削減 | 建設業 協成工業株式会社さまのアプリ開発事例
続いて取り組んだのは、協力会社日報のkintone化です。
現場で作業に携わってくれるのは自社の社員だけではなく、協力会社の社員の方が多いことも珍しくありません。
協力会社の工数も「外注費」として原価に計上する必要があるため、協成工業株式会社さまでは現場監督に協力会社の日報を作成してもらっていました。
しかし、協力会社日報を元に原価を集計するためには、「現場監督から共有されるまで経理業務に取りかかることができない」「建て替えた弁当の集計に手間がかかる」など、さまざまな問題を抱えていました。
そこで協力会社日報もkintone化することにより、協力会社の作業員たちの勤怠管理、弁当の個数・金額まで自動集計が可能になりました。
協力会社日報アプリの仕組みと集計の自動化についてはこちらの記事で詳しくご紹介しています!
▼kintoneで協力会社の日報を一括管理して二重チェックの手間を削減|建設業 協成工業株式会社さまのアプリ開発事例
さらに、協力会社日報のデータを元に、協力会社から届く請求書と突き合わせて確認するためのデータの自動作成にも取り組みました。
自動集計フローを作成したことにより、請求書1枚につき突合時間を平均15分短縮することに成功しています。
請求書との照合データを自動作成した事例についてはこちらの記事で詳しくご紹介しています!
▼日報の数字を元にkintone上で請求書との照合データを自動作成し大幅な時短に成功| 建設業 協成工業株式会社さまのアプリ開発事例
ここまでご紹介した原価の自動集計には、全てkrewData(クルーデータ)を利用しています。
krewDataは、複数のkintoneアプリのデータを集計できるプラグインです。
集計したいデータが登録されているアプリから必要情報を取り出し、加工するフローを組むことで原価管理を自動化しています。
原価管理の自動集計結果からダッシュボードを作成し、必要な情報をより見やすく
ここまで原価管理の自動集計を行うためにkintone化を進めてきましたが、次は必要な情報をより見やすくするためにkrewDashboard(クルーダッシュボード)を導入しました。
krewDashboardでは、グラフや集計表を1つの画面にまとめて表示することができます。
手作業で集計しなくてもリアルタイムで分析結果を確認できる他、柔軟な絞り込みをワンクリックで行うことができるプラグインです。
建設業では原価管理のためにさまざまな科目の確認が必要になるので、1つの画面で情報が確認できれば業務効率化につながり、その後の意思決定を素早く行うことができます。
協成工業株式会社さまが導入した「建設業業務改善パッケージ」には、もともと経理向け・現場向けのダッシュボードが機能として含まれています。
この機能は、「現場監督が見たい数字」と「経理が会計処理上確認したい数字」が異なるため、それぞれに合わせて都度集計しなおす必要があるという建設業特有のお悩みを解決できる機能です。
kintone建設業業務改善パッケージについてはこちらの記事で詳しくご紹介しています!
▼建設業でよくある課題をkintoneで解決!建設業業務改善パッケージ
協成工業株式会社さまでは「経理向け」と「現場向け」の原価管理表だけではなく、さらに「暫定版」「確定版」の原価管理表を追加しました。
各アプリからは、以下のような仕組みで自動集計しています。
これにより、「現時点での概算原価がどれだけで、その内確定している金額がどれだけなのか」をタブで切り替えてご覧いただけるようになりました。
「暫定版」・・・確定前の金額も含めた荒い状態の原価 「確定版」・・・調整等も完了した正確な数字の原価 |
kintoneアプリで管理している情報をkrewDataで集計し、krewDashboardに集約することで、リアルタイムでの見える化が可能になります。
協成工業株式会社さまの場合には、kintoneのトップページである「ポータル」にもダッシュボードを表示し、いつでも・誰でも原価管理表を確認できるようにしました。
原価管理をkintone化する3つのメリット
kintoneで原価管理を自動化するメリットは、主に3つあります。
- 集計にかかる時間が0になる
- どの工事でどれだけの粗利益があるかが明確に分かるようになる
- 各工事ごと・会社全体の収支が分かるようになるため、案件に関するキャッシュフローが見える化できる
kintoneに加えて各種プラグインを活用することで、集計にかかる時間を0にすることが可能です。
もちろん集計の元となる情報(日報や請求書の情報)はkintoneに入力する必要がありますが、一度だけ入力すればあとは自動的に集計してくれるため、手動で集計していた時に比べるとかなりの時間削減になりました。
また、工事ごとの粗利益やキャッシュフローが見える化できるようになるため、情報や変動が多い建設業では追いづらかったお金の流れを確認できるようになります。
早い段階で資金状況に気づくことができるため、早急な対処も可能になるでしょう。
ただし、kintoneで原価管理を実現するには、まずは現状の原価集計の仕組みを丁寧に分解していく必要があるため、自動化までの構築に時間がかかります。
根気強く「構築→テスト登録→想定通りの数値になっているか確認」のサイクルを回していく必要がありますが、一度構築してしまえばあとは自動的に集計してくれます。
建設業の課題である経理担当者の負担を大幅に軽減できるので、kintoneを導入する価値は十分にあるでしょう。
kintoneを活用して建設業の原価管理を自動化しよう!
kintoneの導入により、原価管理の自動化を行った協成工業株式会社さま。
これにより原価管理の集計時間が0になり、業務の大幅な効率化に成功しました。
さらにダッシュボードの作成により必要な情報が見やすくなり、より「効率的な使い方」に繋げることができています。
情報量が多く、変動も多い建設業では、複雑な原価管理に時間と手間をかけている企業さまが少なくありません。
負担のかかりがちな経理業務の効率化を図るには、kintoneの活用がおすすめです。
kintoneでは、パッケージやプラグインの導入によって、企業さまごとの業務の形に合わせてカスタマイズすることが可能です。
「独自の方法があるからkintone導入やパッケージ導入は難しそう…」と悩んでいる建設業の企業さまも、ぜひ一度、コムデックにご相談ください。
課題にあわせたカスタマイズで、業務の効率化を実現しましょう。
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