kintoneで複数店舗間の備品管理を既存システムから切り替え|調剤薬局 株式会社イワオ薬局さまのアプリ開発事例
御社では備品管理をどのように実施されているでしょうか?
紙やエクセル、専用のシステムに必要な備品のデータを入力して、FAXや電話で発注をおこなうというフローを続けている企業さまも少なくありません。
さらに、複数店舗間で備品を融通し、各店舗ごとに在庫管理や会計処理を行っている場合にはより備品管理や発注管理は煩雑になります。
そこで今回は、既存のオーダーメイドシステムをkintone化することで複数店舗間の備品管理を効率化した、調剤薬局さまのkintone導入事例を紹介します。
目次
備品管理のためにオーダーメイドシステムを使っていたものの、都度改善が難しい…
株式会社イワオ薬局さまは、三重県伊勢市エリアを中心に6店舗を展開する地域密着型の調剤薬局です。
近年は、患者さまの健康をより幅広くサポートする薬のパートナー・かかりつけ薬局として積極的な取り組みを行っています。
そんな株式会社イワオ薬局さまでは、保持する備品の所在や使用状況、在庫数などを管理する「備品管理」において相当な時間と労力を必要としていました。
複数店舗を持つ株式会社イワオ薬局さまでは、不足した備品を店舗間で移動することが多々あり、各店舗できちんと備品管理や会計処理を行うためには移動した備品の種類や数・金額を記録・集計する必要があったのです。
店舗間で請求も発生することから、よくある紙やエクセルではなくオーダーメイドで作った既存システムを使ってはいたものの、オンプレミス型のためにデータ管理を行う端末が限定されてしまうことや、システムの改修が難しいという課題がありました。
そこで、株式会社イワオ薬局さまが課題解決のために注目したのが、すでに別の用途で導入していたkintone(キントーン)です。
kintoneであれば端末を問わず利用できるのはもちろん、ちょっとした項目の追加や修正は簡単に実施することができます。
オーダーメイドシステムの場合複雑になりがちなアクセス権などのカスタマイズにも対応できることから、備品管理のkintone化をを進めていくことになりました。
既存システムをもとにkintoneアプリを構成!一つのアプリで備品の発注管理が可能に
株式会社イワオ薬局さまが抱える課題を解決すべく、まずは既存システムをもとにkintoneアプリの構築がスタートしました。
まずは注文する備品やその分類、注文先の情報をあらかじめ登録しておく「備品マスタアプリ」や「分類マスタアプリ」、「発注先マスタアプリ」等の基本データ系のアプリを構築していきます。
これらのアプリを構築する際、既存システムで使っていなかった項目は削除する等、できる限りシンプルな項目になるように調整しました。
それらのアプリと紐づける形で構築した備品管理アプリ(依頼注文書アプリ)がこちらです。
発注先名や備品の分類、備品名はそれぞれのマスタからルックアップで参照してくる形となっており、「ルックアップ/階層区分対応ドロップダウン変換プラグイン」を使うことでドロップダウンでの選択を可能にしています。
備品マスタに登録された品番や単価は自動的に入力されるようになっており、数量を入力することで金額が自動計算される仕組みです。
極力選択式や自動入力の項目にすることで、打ち込む必要があるところを減らしています。
一つのアプリの中で「別の店舗への備品依頼」と「業者への注文依頼」のどちらも登録できるようになっている他、全ての店舗の情報を一つのアプリに集約することが可能です。
これまではそれぞれの店舗の特定のパソコンでしか見ることができなかった情報を一つのアプリで確認できるため、管理者としては非常に便利になりました。
店舗ごとに発注や依頼の履歴を確認するための一覧も作成し、各店舗がそれぞれの状況を把握できる仕組みとなっています。
運用開始後は、現場の声に合わせて備考項目の追加や入力しやすいように並び順を変更するなど、既存システムでは難しかったちょとした改善を継続しています。
kintoneで発注管理アプリを作る方法についてはこちらの記事で詳しくご紹介しています!
▼【脱紙・エクセル】kintoneでの受発注管理システムの作り方を解説!
請求情報もkintoneで管理!複数レコードサブテーブル化プラグインで明細を自動作成
依頼注文書アプリと合わせて構築したのが、「請求入力アプリ」と「請求明細書発行アプリ」です。
備品の発注管理なら発注書が発行できれば良いのでは?と思われるかもしれませんが、前述の通り株式会社イワオ薬局様では店舗間での備品移動に伴う請求書を作成する必要がありました。
そこで、備品を依頼された店舗が請求情報を登録するためのアプリが「請求入力アプリ」になります。
中身は至ってシンプルで、どこの店舗からいくらの依頼があったのかということと、「依頼注文書アプリ」の番号を記載するだけ。
ここに登録された情報を元に、「複数レコードサブテーブル化プラグイン」を使って「同じ店舗」で「同じ依頼元」で「同じ月の請求」を取りまとめ、「請求明細書アプリ」に自動で明細を登録しています。
複数レコードサブテーブル化プラグインは、その名の通り特定の条件でグループ化したい複数のレコードを、ワンクリックで取りまとめてサブテーブル化し別アプリへのコピーができるプラグインです。
コムデックラボではよくkrewData(クルーデータ)を利用した複数アプリのデータ集計方法をご紹介していますが、無料のプラグインでも以下画像のように設定することで請求明細書を作ることが可能となります。
【複数レコードサブテーブル化プラグインでできること】
- グループ化したいレコードの設定
- 設定したレコードのサブテーブル化
- 別アプリへのコピー
この「請求入力アプリ」と「請求明細書発行アプリ」は全員が全てのレコードを閲覧・編集できてしまっては困るため、「自分の店舗が請求するレコード」のみ閲覧・編集できるようになっています。
kintoneであれば、こういったアクセス権の設定も柔軟にかつ簡単に実施できるのです。
帳票印刷はプリントクリエイタープラグインで対応
備品管理のkintone化を実現した株式会社イワオ薬局さまですが、備品の注文書はもちろん、店舗間で請求書をやり取りするためには請求データのとりまとめだけではなく請求書の印刷も必要となります。
しかし、kintoneの標準機能では「元々利用しているPDFやエクセルのフォーマットに合わせてkintoneの項目をあてはめて帳票印刷」をすることができません。
そこで、帳票印刷はトヨクモのプラグイン「プリントクリエイター」で対応しました。
プリントクリエイターを使えば、kintoneに登録されている社名や金額などのデータを用いて、ドラッグ&ドロップで簡単に帳票を作成できます。
【プリントクリエイターでできること】
- kintone上のデータを活用した帳票作成
- 自社でもともと使っていた帳票フォーマットをそのまま利用できる
- PDFファイル化(出力ボタンを押すだけ)
- プルダウンの切り替えで請求書や契約書、納品書などのさまざまな帳票が出力可能
プリントクリエイターを活用して発行できるようになった注文書がこちらです。
帳票出力の機能もつけたことで、備品在庫数の把握や店舗間移動、業者への発注業務などをすべてkintone上で一元管理できるようになりました!
kintoneからの帳票出力については、こちらの記事で詳しくご紹介しています!
▼kintoneで帳票を簡単に作成・PDF出力したい!便利なプラグイン5つを徹底比較!
ワークフローもkintone化することでスピード感のある対応が可能に!
備品管理をkintone化することで、株式会社イワオ薬局さまでは備品の依頼や発注に関わる全ての情報をkintone上で一元管理できるようになりました。
さらに、ただデータを管理できるようになっただけではなく、kintone上にワークフローを実装することでよりスピーディな対応を可能にしています。
前述の通り株式会社イワオ薬局さまにおける備品管理とは店舗間の備品移動も含むため、「依頼をした」「出荷をした」「受け取った」といった状況を自社内で確認する必要があります。
この状況把握にワークフローを利用することで、「誰が誰に依頼をしたのか」「それをもとにいつ誰が出荷をしたのか」「いつ受け取ったのか」を把握できるようになっています。
ワークフローで依頼を行うと次の作業者に自動で通知が届くようになっているため、これまでよりスピーディに対応できるようになりました。
既存システムによる備品管理をkintone化するメリットとは?
既存システムによる備品管理をkintone化することで、株式会社イワオ薬局さまでは以下のようなメリットがありました。
- 専用のシステムを利用しなくても発注管理ができるようになった
- オンプレミス型ではなくクラウド型のため、場所や端末を選ばずデータを確認できる
- kintoneの集計機能でリアルタイムに集計できるようになった
備品管理をkintone化した最大のメリットは、専用システムを使わずに発注管理ができるようになったことです。
kintoneはクラウド型システムのため、入力データは自動で保存されます。さらに端末を選ばないため、備品在庫数をリアルタイムで把握し、無駄のない発注管理が可能となったのです。
ただし、既存システムで実施していた「明細の合計に一部の項目を加算するような、集計結果を加工した表」は見られなくなってしまいました。
その部分については、CSV出力機能とkintone&プラグインによる運用で対応するとのことです。
一部の集計に関しては課題が残ったものの、備品管理そのものの工数は大幅に削減され、管理が容易になりました。
kintoneアプリは現場の声を反映しやすいため、今後は「使い続けてもらえるアプリ」へ改善していくことができるでしょう。
使い勝手のよいkintoneアプリで備品管理を業務効率化しよう
今回、株式会社イワオ薬局さまでは既存システムで実施していた備品管理をkintoneに切り替えました。
その結果、常に最新のデータを店舗間で共有できるほか、発注業務や帳票印刷も簡単に行えるようになりました。
各店舗からの「もっと〇〇してほしい」「〇〇な機能を追加してほしい」といった要望を汲み取り、容易に改善が検討できるようになったことも大きなメリットです。
今後は引き続き、使い勝手の向上を随時ご相談いただきつつ、改善を検討していく予定となっています。
従来のアナログ管理によって「無駄な工数が多い…」「もっとリアルタイムの在庫情報を簡単にできないの?」などの課題を抱えていませんか?
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