脱手書き!宅配受付業務をkintone化|和菓子製造・販売・店舗運営 株式会社赤福さまのアプリ開発事例
和菓子製造・販売・店舗運営事業を手がける株式会社赤福さまの各店舗では、赤福餅などの宅配が可能です。
直接会えない方にお渡ししたい時などに嬉しい宅配サービスを、株式会社赤福さまでは紙で受け付けていました。
店頭での宅配受付の際に、発送伝票と一緒になった複写式の紙などで対応しているお店は少なくありません。一つの店舗内だけで完結する処理であれば紙でも大きな問題はありませんが、株式会社赤福さまのように複数店舗の宅配受付を本社で取りまとめて一括で手配をおこなうような場合には、様々な懸念点や手間が発生してきます。
そこで今回は、紙の宅配受付・管理による「お客様に直接ご記入いただく手間」や「個人情報の取り扱い・集計・印字の手間」などをkintoneで一挙解決し、お客様満足度アップと店舗・本社の業務効率を向上させた事例をご紹介します!
目次
紙の注文受付、本社で集約……個人情報の管理は厳重に
伊勢神宮や東海地方のお土産の定番ともいえる赤福餅。その赤福餅を製造・販売する株式会社赤福さまは、三重県伊勢神宮の近くで1707年に創業されました。
長きにわたり和菓子の製造・販売、店舗運営を手掛けておられるほか、赤福餅とほうじ茶を楽しめるイートイン店舗を三重県内と名古屋に展開中です。
そんな株式会社赤福さまでは、伊勢市内の直営店舗にて商品の宅配受付サービスを提供しており、お客様が宅配を希望される場合には以下のご注文承り書に注文内容やお届け先を記入いただいていました。
宅配受付の手順
- お客様が紙の「ご注文承り書」に、お届け先とご依頼主の住所・氏名・どの商品を何点発送するかを記入
(複数の発送先がある場合は、複数枚記入していただく) - 店舗スタッフが商品代金や送料などの合計金額を計算し、記入
- 記入済みの「ご注文承り書」原本を各店舗から本社へ届ける
- 注文内容を紙から本社の基幹システムへ手入力で登録
注文書自体が個人情報保護の観点から扱いや管理に注意が必要なうえ、各所に手作業が入るためお客様はもちろん、店舗スタッフや本社にも大きく手間のかかる業務となっていることが課題でした。
予約管理・オーダー管理に続いてkintoneで業務改善!宅配受付管理のポイントとは?
取り扱いに注意が必要でなおかつ手間もかかる宅配受付業務を、もっとスムーズに効率よく、かつミスなくおこなえるようにしたいと考えた株式会社赤福さま。
そんな株式会社赤福さまが着目したのは、自社の業務に合わせてアプリを作ることができるkintone(キントーン)でした。
株式会社赤福さまでは近年、kintoneを導入・活用しての業務改善を進めています。
毎月1日限定で販売している「朔日餅」の予約受付管理やイートイン店舗の注文受付システムなど、kintoneを活用してお客様にとってもスタッフにとってもより良い業務の形を模索し、改善を続けてきました。
kintoneフル活用で実現した、人気商品「朔日餅」予約管理システム開発の様子はこちらの記事をご覧ください。
▼年間200時間の削減|株式会社赤福さまkintone朔日餅予約管理アプリ活用インタビュー
番号札や記憶頼みの人気飲食店オペレーションをkintoneで大改革!スムーズな店舗運営が叶った事例はこちらの記事でご紹介しています。
▼老舗さんの挑戦!kintone導入が救ったイートイン店舗オーダー管理業務
kintoneの標準機能では難しい部分は、プログラミングによるカスタマイズをおこなうことで株式会社赤福さま専用のアプリを構築しています。
そこで今回も、kintoneで宅配受付業務を改善できるアプリを構築できないかと言うことで開発がスタートしました。
宅配受付管理をkintone化するにあたり、株式会社赤福さまが重視したポイントは以下の4つです。
- 注文フォームはお客様が入力しやすい形式にする
- 受付アプリは店舗従業員さんがわかりやすく、使いやすいものに
- 本社で容易に注文情報を確認できるようにする
- kintoneから発送用システムへの連携用データ出力機能の構築
これらのポイントを満たしてkintoneアプリ化することで、紙のご注文承り書を廃止し、個人情報の取り扱いをセキュアかつ簡単にするという狙いと、集計や発送の手配もスムーズにおこなえるようにするという狙いがありました。
フォームブリッジでスマホから宅配注文情報を入力
お客様、つまり株式会社赤福さまのkintone環境にアカウントを持っていないユーザーからkintoneに対して直接データを登録する方法はいくつかあります。
ひとつは、ゲストユーザーアカウントを作成して、そのアカウントでログインしてもらう方法。
ですがこの方法の場合、kintoneの画面を直接見ていただくことになるためあまり見栄えがいいとは言えず、権限にも気を遣う必要が出てきます。
そして何より、お客様に「kintoneにログインする」という手間を取らせてしまうことになるため今回のケースには適しません。
もう一つの方法は、kintoneと連携できる外部サービスからデータを登録する方法です。
コムデックラボでは、「フォームブリッジ」という外部連携サービスを何度かご紹介してきました。
フォームブリッジはkintone連携webフォーム作成ツールです。フォームブリッジで作成したwebフォームから回答が送信されるとkintoneにそのデータが自動で登録されていくため、わざわざ転記作業をおこなう必要がなく、転記ミスもおこりません。
回答する側はログインなどの必要はなく、デザインもカスタマイズが可能という柔軟さもポイントです。
フォームブリッジで作成した、お客様に宅配情報などをご入力いただくwebフォームがこちら!
ただ入力いただくだけではなく、多くの通販サイトなどがそうであるように、郵便番号を入力することで住所を自動反映したり、住所を入力することで郵便番号を自動反映したりといったことが可能です。
この仕組みには、フォームブリッジと連携して利用できる「kViewer」を応用しています。
kViewerは、kintoneアカウントがない人にもkintone内のデータを選んで公開できるツールです。
フォームブリッジとkViewerを連携させることで、kintoneが持つデータをwebフォームの入力補助として利用することが可能になります。
今回はその特性を応用して、フォームにお届け先を入力する際の郵便番号検索や住所検索ができるようにしました。
他にも、発送先が注文者と同一の場合の注文者住所の自動反映や、これまでは複数のご注文承り書を記入いただく必要のあった、複数のお届け先入力も可能にして、お客様の入力の手間をできるだけ省けるようなフォームに仕上げています。
各店舗で宅配受付、控えの発行までkintoneで
フォームブリッジで作成した宅配受付フォームにお客様が入力完了すると、それに紐づいた受付番号とQRコードが自動発行されます。
そのQRコードを店舗スタッフが業務用スマートフォンやタブレットで読み取ると、お客様が入力した注文情報が反映された店舗用アプリが開く仕組みです。
表示された内容を元に店舗スタッフが注文内容の最終チェックを実施し、確認ができたらデータを保存することで受付が確定します。
もちろん、お客様が入力した段階でのデータ保存や受付の確定も可能ですが、送料の入力やお届け先の最終確認のためにあえてワンクッション挟む仕様にしました。
もし入力情報に誤りがある場合には店舗スタッフが確認しながら修正するようになっていますので、万が一の入力ミスも防ぐことができます。
データを保存するとお客様控えを出力できるようになるため、レシートプリンターから印刷してお客様にお渡しします。店舗での受付はこれで完了です!
保存されたデータは、店舗はもちろん本部でも確認することができるため、これまでのように本社へ伝票を送るといった作業が不要となりました。
受注データは自動集計!ラベル発行用データも出力可能
kintoneアプリを利用して各店舗で受け付けた注文の内容は、そのまま店舗用アプリ上で自動集計され、リアルタイムな受付状況や売上金額を確認することが可能です。
また、商品を発送する際には運送会社のラベル発行が必要になりますが、こちらもkintone内のデータを活用して発送ラベル発行用の取り込みデータを出力できる仕様にすることで、発送作業に関する業務も大きくスリム化しました。
宅配受付管理のkintone化に成功!kintone活用の効果とは?
大きな手間がかかっていた宅配受付と管理の業務改善のため、カスタマイズにより独自のkintoneアプリを開発した株式会社赤福さま。
紙でおこなっていた宅配受付と管理がkintone化できたことにより、以下のような効果がありました。
- 個人情報は全てkintone上で管理されて物理的な移動がなくなり、セキュリティが担保される
- 本社における基幹システムへの転記作業がなくなり、ラベルデータも自動出力できるようになった
- 転記によるミスを未然に防ぐことができる
- 受付情報のデータが一元化されたことにより自動で集計されるため、リアルタイムなチェックとスムーズな分析ができるようになった
これまでなかったシステムを導入するにあたっては各店舗スタッフの協力が不可欠です。
そこで、宅配受付管理のアプリを導入する際には使い方の説明会を実施し、現場でスムーズに使ってもらえるようフォローをしました。
もちろん、スマートフォンでの入力に慣れていないお客様が来店された場合は、店舗従業員さんが代わりに入力をお手伝いするなどの対応が必要となります。
しかし、紙を厳重に管理して送付する、転記や計算を手でおこなうといった作業がなくなり、全体として宅配受付管理に関する業務は大きく効率化できているとのことでした。
kintone活用で脱・紙へ、本当に自社に合った業務改善アプリを構築できる
今回は、紙伝票でおこなわれがちな宅配受付と管理のkintone化事例をご紹介しました。
株式会社赤福さまのように昔から続く老舗和菓子店でも、伝統を大切にする一方で、時流に合わせ積極的にITを活用し、業務変革を進めておられます。
kintoneの導入、そして自社の業務に合うアプリの開発により、お客様へのサービスの質向上やおこなうべき業務に注力できる時間や環境が生まれています。
かつては自社専用のシステムを作ろうとすると高額な費用とそれなりの期間が必要でしたが、kintoneであれば自社の業務にぴったり合った専用のアプリを低コストかつスピーディに作ることが可能です。
もし御社が今何かしらの業務課題を抱えていらっしゃるのであれば、kintoneの御社専用アプリで解決を目指してみてはいかがでしょうか?
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