会計ソフトに利用できるIT導入補助金とは?申請方法や対象を解説【2022年版】
電子帳簿保存法やインボイス等の法改正が進む中、この機会にバックオフィスの中心である会計ソフトをクラウド化したいとお考えの企業様も多いのではないでしょうか?
もし御社が会計ソフトの導入を検討されているなら、是非使っていただきたいのがIT導入補助金です。
IT補助金を利用すれば、経費を抑えながら最新のITツールを導入できます。
この記事では、2022年のIT導入補助金の概要や申請方法についてわかりやすく解説します。
2023年以降には内容が大きく変わる可能性もあるため、それを踏まえたうえでご覧ください。
※2022年10月12日時点の情報で作成しています
この記事でわかること
- 会計ソフトの導入に利用できる補助金
- IT導入補助金の概要
- IT導入補助金の申請方法
こんな人におすすめの記事です
- 会計ソフトの導入に利用できる補助金の内容を知りたい方
- 補助金を利用して導入できるおすすめの会計ソフトを知りたい方
目次
会計ソフトの導入にはIT導入補助金を利用できる
会計ソフトを導入する際には、IT導入補助金の利用を検討されることをおすすめします。
IT導入補助金は、ITツールの導入にかかる費用(ライセンス費用や導入サポート費用を含む)を受け取ることのできる補助金です。
補助金を活用できれば、会計ソフト導入のコストを大きく抑えることができます。
2022年度は特に会計ソフトの導入を検討されている企業様にとって追い風の制度となっていますので、要件をしっかり確認して導入したい会計ソフトを取り扱っているIT導入支援事業者を見つけましょう!
IT導入補助金とは?
IT導入補助金とは、中小企業や小規模事業者がITツールを導入するのにかかる費用の一部を補助する制度です。2017年から始まり、少しずつ形を変えながら現在まで続いています。
制度の目的は企業の業務効率化や売上アップのサポート。その中でも、2022年度は特にインボイス対応のためのデジタル化推進を後押しする内容となっています。
業務改善のためのソフトウェアなどITツールの導入を検討しつつも、費用の面で踏み切れずにいる場合には、IT導入補助金の活用を強くおすすめします。
会計ソフトの導入はIT導入補助金の対象
会計ソフトの導入費用は、IT導入補助金の対象となります。
会計ソフトにはソフトウェア型とクラウド型がありますが、どちらも対象です。
ソフトウェア型についてはソフトウェア購入代金、クラウド型についてはクラウド利用料の補助を受けられます。
IT導入補助金の概要
2022年版のIT導入補助金には次のとおり、複数の種類があります。
- 通常枠(A・B類型)
- デジタル化基盤導入型
- 複数社連携IT導入類型
それぞれ補助金の種類ごとに、補助対象や補助額、対象となるITツールなどが異なります。
ここでは、それぞれの概要について解説します。
なお、ここでの解説は2022年版のもので、2023年以降は内容が変わる可能性があることにご注意ください。
共通の仕組み
IT導入補助金では、補助金を受け取る企業自身だけで申請を行うわけではありません。
まずITツールを取り扱う「IT導入支援事業者」つまりコムデックのような企業が「補助金を利用できるITツール」を補助金事務局に届け出を行います。
そして、補助金を受け取る「補助事業者」は、自社が導入したいツールを探してそのITツールを取り扱っているIT導入支援事業者に相談し、一緒に申請を行う形となります。
つまり、自社が入れたいツールを何でも申請できるわけではなく、業務改善や生産性向上に寄与すると認められたツールかつそのIT導入支援事業者が取り扱うツールのみを申請することができるのです。
通常枠(A・B類型)
A類型 | B類型 | |
補助対象 | ソフトウェア費・クラウド利用料(1年分)・導入関連費 | |
補助額 | 30~150万円未満 | 150~450万円以下 |
補助率 | 1/2以内 | |
賃上げ目標 | 加点要素 | 必須 |
プロセス数 | 1つ以上 | 4つ以上 |
※IT導入補助金公式サイトを参考
https://www.it-hojo.jp/
通常枠は、中小企業や小規模事業者の業務効率化や売上アップのサポートを目的とする類型です。
昨年も同様の申請枠があり、内容についても大きな変更ありませんでした。
通常枠の補助対象は、ソフトウェア費・クラウド利用料(1年分)・導入関連費となっています。
対象となるITツールは、生産性向上に役立つものであれば広く認められていますので、例えばコムデックラボでもご紹介しているkintoneやDropbox、LINE WORKS、KING OF TIMEといった各種ツールの導入に利用することが可能です。
ただし、一部のツールはITツールとその導入支援費用だけでは申請することができません。
少し専門的な話になりますが、申請するツールには「プロセス(そのツールを導入することで、どんな業務改善が見込めるか)」が必要となります。それが表の一番下に書いてある「プロセス数」になります。
例えばKING OF TIMEは「勤怠管理」、つまり「総務・人事」に関わるプロセスを持つツールとなります。
そのため、KING OF TIMEはそれ単体でA類型の申請が可能です。
一方、kintoneやDropbox、LINE WORKSといった「業種や業務を問わず活用できるツール」は「汎用プロセス」しか持たないツールとなります。
この「汎用プロセス」しか持たないツールについては、それ単体で申請を行うことができないのです。
そのため、例えばkintoneでIT導入補助金を使いたい場合には、ただkintoneを導入するのではなく、他のプロセスを持ったツールと一緒に申請したり、コムデックの業務改善パッケージのように「特定の業種や業務に特化したプロセスを持つツール」として申請を行う必要があります。
補助額は、A類型が30~150万円未満、B類型が150~450万円以下となっており、補助率はそれぞれ2分の1以内です。
賃上げ目標は、A類型では加点要素、B類型では必須の要素となっています。
A類型とB類型で補助額に大きな差がある理由は、先ほど説明した必須プロセス数に差があるためです。
プロセスが多いということは、その分生産性向上・業務効率化が見込めるため補助額も大きく、その分従業員の賃上げが必須となっています。
デジタル化基盤導入類型
補助対象 | ソフトウェア費・クラウド利用料(2年分)・導入関連費 | |
補助額 | 5~50万円以下 | 50万円超~350万円 |
補助率 | 3/4以内 | 2/3以内 |
機能要件 | 1機能以上 | 2機能以上 |
賃上げ目標 | なし | |
機能数 | 1つ以上 | 2つ以上 |
補助対象 | パソコン・プリンターなど | レジ・販売機など |
補助額 | 10万円 | 20万円 |
補助率 | 1/2以内 | |
賃上げ目標 | なし |
※IT導入補助金公式サイトを参考
https://www.it-hojo.jp/
2022年度のIT導入補助金の最大の特徴と言えるのがデジタル化基盤導入類型です。
デジタル化基盤導入類型は、インボイス制度対応のためのツール導入費用を補助し、企業間取引のデジタル化を促進することを目的とする類型となります。
デジタル化基盤導入類型の補助対象は、ソフトウェア費・クラウド利用料(最大2年分)・導入関連費・ハードウェア購入費となっています。
A・B類型とは異なり、クラウドツールの場合には2年分の利用料が補助対象となること、ハードウェア購入費も補助対象となることが特徴です。
対象となるITツールは、A・B類型のプロセスとは異なり、「会計・受発注・決済・EC」のうち、1つ以上の機能が備わったツールとなります。
例えば、会計ソフトを導入する場合には「機能1つ」、つまり補助額の上限は50万円までとなります。
会計ソフトと販売管理ソフトを導入する場合には、「会計」と「受発注」の機能を持つことになりますので350万円までの補助額です。
ここで一点注意したいのが、デジタル化基盤導入類型では、「会計・受発注・決済・EC」の機能を持つツールしか申請できないという点です。
例えば、会計ソフトと勤怠管理ソフトでIT導入補助金を使いたい場合には、デジタル化基盤導入類型では申請できないため、A・B類型での申請となります。
※デジタル化基盤導入類型とA・B類型はダブル申請も可能なため、会計ソフトはデジタル化基盤導入類型、勤怠管理ソフトはA・B類型で申請をする、という方法もあります。
補助額は、1つ以上の機能を備えた申請で5~50万円以下、2つ以上の機能を備えた申請で50万円超~350万円以下で、補助率は前者が4分の3以内、後者が3分の2以内です。
デジタル化基盤導入類型では、ITツールの使用に資するハードウェア購入費も補助の対象となっており、補助額はパソコンなどは10万円まで、レジ・券売機などは20万円までです。
補助率は、それぞれ2分の1以内となります。
デジタル化基盤導入類型では、賃上げ目標は必要ありません。
複数社連携IT導入類型
複数社連携IT導入類型は、複数の会社が連携してITツールを導入することで、デジタル化や生産性向上を図るサポートを目的とする補助金です。
そのため、複数社連携IT導入類型は単独の中小企業や小規模事業者が申請することはできず、10以上の事業者がグループとなって申請する類型となっています。
補助対象は、デジタル化基盤導入類型と同じくソフトウェア費・クラウド利用料(最大2年分)・導入関連費・ハードウェア購入費で、IT ツールは会計・受発注・決算・ECのいずれかの機能を備えている必要があります。
複数社連携IT導入類型の補助額などは、参画する企業数などでも変動する複雑な仕組みのため、詳しくはIT導入補助金2022のサイトをご覧ください。
https://www.it-hojo.jp/
IT導入補助金の交付対象者
IT導入補助金のA・B類型とデジタル化基盤導入類型の対象者は中小企業に限られています。
従業員数や資本金での定義は以下の通りです。
【中小企業】
業種 | 資本金 | 従業員(常勤) |
製造業、建設業、運輸業 | 3億円以下 | 300人以下 |
卸売業 | 1億円以下 | 100人以下 |
サービス業 | 5,000万円以下 | 100人以下 |
小売業 | 5,000万円以下 | 50人以下 |
ゴム製品製造業(一部除く) | 3億円以下 | 900人以下 |
ソフトウエア業、情報処理サービス業 | 3億円以下 | 300人以下 |
その他の業種 | 3億円以下 | 300人以下 |
医療法人、社会福祉法人、学校法人 | – | 300人以下 |
商工会議所 | – | 100人以下 |
【小規模事業者】
業種 | 従業員(常勤) |
商業・サービス業 | 5人以下 |
宿泊業・娯楽業 | 20人以下 |
製造業その他 | 20人以下 |
※事業概要 | IT導入補助金を参考
https://www.it-hojo.jp/overview/
なお、複数社連携IT導入類型では、商工団体や観光振興などの事業を担う団体などが対象となっています。
IT導入補助金の申請方法
補助金の申請は、概ね次の流れで行います。
事前準備
IT導入補助金を利用したいと考えたら、まずは「gBizIDプライム」アカウント取得と「SECURITY ACTION」の宣言を行います。
「SECURITY ACTION」とは情報セキュリティ対策に取り組むことを宣言する制度で、交付申請の際に必要になります。
「gBizIDプライム」は申請から取得までに時間がかかることがありますので、早めに申請しておきましょう。
また、申請を行う際には発行から3か月以内の履歴事項全部証明書や納税証明書が必要となりますので、こちらも準備しておいてください。
ツールとIT導入支援事業者の決定
事前準備と並行して、補助金を利用してどのITツールを導入したいのかを検討します。
IT導入補助金の公式ページには、業種や業務でツールを検索できるようになっているので、「このツール!」と決まっているわけではない場合にはこちらから検索してみましょう。
この時、本来は同じツールでも、IT導入支援事業者が異なれば別のツールとして表示されるため注意してください。
ITツールが決まったら、そのITツールの導入を取り扱っているIT導入支援事業者を選定します。
IT導入支援事業者によって、ツールを販売するだけなのか、導入まで支援してくれるのか、支援する場合にもどういった内容なのかといった点が異なります。
自社に合ったサポートを提供しているIT導入支援事業者を選ぶようにしましょう。
先にお伝えしたプロセス数や機能数、補助金額など細かい条件もありますので、気になるツールがあればまずIT導入支援事業者に連絡を取り、詳細な申請内容はそこから決めていくのが一般的です。
マイページからIT導入支援事業者と一緒に申請
ツールやIT導入支援事業者が決まったら、そのIT導入支援事業者からマイページに招待をしてもらいます。
マイページから自社の基本情報や決算情報などを入力し、申請ツールの情報はIT導入支援事業者が入力して申請を提出します。
申請には締切が設けられており、2022年10月12日現在では11月28日まで締切が発表されています。
ただし、「※上記以降の締切は、後日公開予定です」と記載があるため、11月以降も延長となる可能性があります。
※詳細なスケジュールは公式サイトを確認してください。
https://www.it-hojo.jp/schedule/
補助事業の実施
交付決定ののちに、申請を行ったITツールの発注・契約・支払などを行います。
補助金交付を受けるためには、そろえるべき帳票等も細かく規定がありますので、IT導入支援事業者の指示に従って実施していきましょう。
事業実績報告
申請時に使ったマイページから、実際にITツールを購入したことのわかる証拠書類を提出します。
こちらも申請時と同様に、補助事業者とIT導入支援事業者がそれぞれ必要なところを入力して進めていきます。
提出期限がありますので、遅れないように準備しましょう。
補助金交付
補助額が確定し、補助金が交付されます。
もし補助を受けたツールの利用を途中でやめたりした場合には、辞退の届出が必要です。
事業実施効果報告
期間内に、マイページにて事業実施結果報告の情報を入力します。
申請した類型によって効果報告実施時期が異なりますので注意してください。
IT導入補助金で導入するおすすめの会計ソフト
会計ソフトは主にソフトウェア型・クラウド型の2種類がありますが、どちらもIT導入補助金の補助対象となっています。
ここでは、IT導入補助金で会計ソフトを導入する場合に、クラウド型とソフトウェア型のどちらが良いか、おすすめのソフトは何かについて解説します。
会計ソフトはクラウド型の導入がおすすめ
これから会計ソフトを導入するのであれば、ソフトウェア型よりもクラウド型の会計ソフトがおすすめです。
クラウド型は、個々のパソコンへのソフトウェアのインストールが不要で、インターネット環境があればどこからでもアクセスできます。
また、データがクラウド上に保存されるため、データ消失の心配もありません。
その他にも、インターネットバンキングやクレジットカードと連携して自動的に明細を取得できるなど、業務効率を大幅に向上させる機能が備わっています。
クラウド会計ソフトについて詳しくは以下の記事をご覧ください。
▼クラウド型会計ソフトとは?従来のソフトとの違い・導入方法を解説
クラウド型会計ソフトのおすすめはマネーフォワードクラウド会計
クラウド型会計ソフトの中でもコムデックがおすすめするのは、マネーフォワードクラウド会計です。
マネーフォワードクラウド会計を導入することで、自動仕訳機能や帳簿の自動作成機能などにより日々の会計業務を大幅に効率化できます。
満足度・おすすめしたい会計ソフトNo.1、契約継続率99%という実績があり、業種や規模を問わず多くの企業が利用しています。
IT導入補助金においては、「マネーフォワードクラウド」全体として複数のプロセスを持つほか、「会計」の機能を持つため、A・B類型でもデジタル化基盤導入類型でも申請することができます。
「せっかく申請するなら、補助率の高いデジタル化基盤導入類型で申請したい」とお考えの企業様は、マネーフォワードクラウド会計とコムデックのkintone業務改善パッケージを合わせて導入するのがおすすめです。kintone業務改善パッケージは業種別によくある課題を解決できるアプリを一括で導入でき、「受発注」の機能を有しているためデジタル化基盤導入類型で申請することができます。
マネーフォワードクラウドと業務改善パッケージを合わせて申請することにより、「会計・受発注・決済・EC」のうち2つの機能をもつことになりますので、350万円までの補助を受けることが可能となります。
せっかく補助金を使うのであれば、会計ソフトだけではなく、自社の業務全体を改善できるよう最大限活用してみるのはいかがでしょうか?
IT導入補助金を利用してマネーフォワードクラウド会計を導入しよう
IT導入補助金を利用すれば、コストを抑えてクラウド型会計システムを導入できます。
システムの導入を検討しており、交付対象になるのであれば、IT導入補助金の活用を検討してみてはいかがでしょうか?
株式会社コムデックでは、IT補助金を活用したITツール導入支援を行っております。
2022年度の支援実績は、通常枠・デジタル化基盤導入類型のいずれもが100%の採択率(6月30日時点)と高い数値を実現しています。
IT補助金の申請に興味をお持ちの方は、ぜひ1度株式会社コムデックまでお問い合わせください。
▼https://comdec.jp/comdeclab/tool_support/