訪問看護記録をkintoneで電子化!タッチペンで図に手書き|介護業 株式会社アイリス南郊さまのアプリ開発事例
利用者様の情報やバイタルの記録、介護記録や看護記録など、介護業の現場はとにかく紙で記録・保管している情報が多いことで有名です。
大量の紙があるということは、その分ペーパーレス化したときの効果は大きくなります。
しかし、介護や看護という利用者様の身体に直接かかわるサービスだからこそ、利用者様の状態を直接図に書き込むような形式の書類も多くあり、それらがペーパーレス化を阻む大きな要因となっているのが現状です。
今回は、そんな図への書き込みが必要な訪問看護記録をJavaScriptによるカスタマイズでkintone化したアプリ開発事例をご紹介します!
目次
介護記録をkintone化!タブレット入力で2時間短縮
三重県明和町に三つの介護施設を構えるアイリス南郊株式会社さまは、介護付き有料老人ホームやサービス付高齢者向け住宅、訪問介護など複数の事業所を運営していらっしゃいます。
近年新しく住宅型老人ホームとリハビリデイサービス施設を開所し、より地域の介護・看護シーンに欠かせない存在へと成長を続けていらっしゃる企業様です。
アイリス南郊株式会社さまでは、3年ほど前から業務にkintone(キントーン)を活用し始めました。
最初にご紹介した通り介護業はとにかく紙で管理する情報が多く、アイリス南郊株式会社さまでも書類を作成したり必要な書類を探し出すのにかなりの時間を要していました。
この課題を解決したいという思いでシステム化を検討していた時に出会ったのがkintoneだったのです。
時間を有効に使うため介護記録の保管や作成業務をkintone化したプロセスはこちらの記事で詳しくご紹介しています!
▼kintoneを活用し日報や介護記録をクラウド化させたことで業務時間が2時間短縮!
介護記録をkintone化し、運営されているグループホームなどの施設ごとにアプリの運用を最適化したことで日々の記録を実際にサービスを提供しながらタブレット入力できるように。
これにより、それまでは日中の業務終了後にまとめて書類を作成していたスタッフさんたちの負担が軽減され、最新情報がすべてのスタッフさんでしっかり共有される環境を整えることができました。
紙で管理していた際には、過去の記録を知りたいときにはまずファイルを探して、紙をめくって……という方法を取る必要がありましたが、kintoneであれば利用者様や担当者の名前、日付や期間で絞り込むことが可能となります。
「書類の作成」と「書類の検索」両方の課題を一気に解決することができたのです。
kintoneのほかにもLINE WORKSの導入やkintoneとじぶんページの連携など、ITを活用した業務効率化の記録はこちらの記事をご覧ください!
▼LINE WORKSを使いこなす|介護事業者アイリス南郊株式会社さまの事例
▼kintone×じぶんページ=一元管理で信頼構築がスムーズに!
kintoneは図に書き込みできない!?訪問看護記録のペーパーレス化を阻む要因
順調にペーパーレス化・業務効率化を進めているように見えたアイリス南郊株式会社さまですが、どうしても紙での管理から抜け出せない書類が「訪問看護記録」でした。
なぜkintone化に踏み出せなかったかと言うと、訪問看護記録には「手書きでないと書き込みしにくい部分」があったためです。
アイリス南郊株式会社さまでは、在宅で介護や医療的処置が必要な方に看護師さんが訪問する訪問看護事業も展開していらっしゃいます。
訪問看護では、担当スタッフさんが持参した紙の訪問看護記録に利用者様の血圧や脈拍といった体調観察の内容やおこなった処置などを直接書き込んで記録していきます。
訪問看護記録は項目をチェックや文章で埋めるだけではなく、症状が出ている箇所を人体図に書き込んでおり、その点がネックとなって紙から抜け出せずにいたのです。
紙で記録を行う以上、原本もそのまま紙で保管する必要があります。
図への手書きがあるからペーパーレス化できず、ペーパーレス化できないから保管場所が必要で過去の記録を調べるのに時間もかかる……アイリス南郊株式会社さまでは、そんな状態に陥っていました。
当然、この書類のペーパーレス化を進めるべく、ほかの業務でも使用しているkintoneの活用を検討しはじめました。
kintoneはデータの集計や整理が得意で、紙やエクセルの資料をペーパーレス化する際に有効です。
しかし、「図」の扱いによってはkintoneが適さないこともあります。
kintoneの標準機能では、レコードに図を添付することはできるものの、その図に書き込んで編集し保存することができないのです。
ペーパーレス化のために、「文字入力の部分のみkintone化し、図は手書きしたものを写真に撮って添付する」という方法も考えましたが、それではスタッフさんがkintone入力用のタブレットと紙の両方を持ち運ばなければなりません。
利用するツールが分かれていては、かえってスタッフさんの負担になってしまうということで、一度は訪問看護のペーパーレス化を諦めたのでした。
Jqueryプラグインで解決!kintone上で図に直接手書き
図の問題があるとはいえ、それを理由に一部の業務がずっとアナログなままでは会社全体のペーパーレス化が進んでいかない!ということで、どうにか訪問看護記録をkintone化するための解決策を探していたアイリス南郊株式会社さま。
他の業務と同様訪問看護記録もkintone上でデータとして管理し、いつでもだれでも閲覧できるようにするのが目標ですが、kintone化によって入力利便性が下がるのは避けたいという思いもありました。
無理にペーパーレス化を進めることで、例えば図へ記入するためだけにkintone以外のアプリが必要になってしまっては、現場の方にとっては逆に手間が増える結果となってしまいます。
特に介護の現場では、素早く記録できることも重要な要素の一つ。
訪問看護記録のkintone化にあたっては、現場での利便性を失わないことを念頭に考える必要があったのです。
まずコムデックが考えた解決方法は、インストールして簡単な設定を行うだけでkintoneの機能を拡張できるプラグインでした。
kintoneには有料無料問わずさまざまなプラグインがありますが、今公開されているkintoneプラグインには、今回実現したい図への書き込みに対応するものがありませんでした。
プラグインで無いなら、もう諦めるしかないのでは?と思われたかもしれませんが、ここでもう一歩踏み込めるのがkintoneの特徴です。
kintoneは、既成のプラグインをインストールするだけでなく、JavaScriptでカスタマイズすることができるのです。
要望にフィットしたアプリ作成を可能にするJavaScriptカスタマイズについては、以下の記事をチェック!
▼JSEdit for kintoneの使い方を解説!メリット・デメリットについても紹介!
JavaScriptとはプログラミング言語の一種ですが、今回のアイリス南郊株式会社さまの事例では何もゼロからプログラミングをしたわけではありません。
今回は、ブラウザ上で文字がかけるJqueryプラグイン「JSignature」を利用し、その機能をkintone上で利用できるようにしようと考えました。
「プラグイン」という括りではあるものの、JSignatureはkintoneそのもののプラグインではなく、kintone上にJavaScriptをカスタマイズするためのプラグインで、例えばkintoneのブラウザ上で電子サイン欄などを実装したいときに活用できるツールです。
このプラグインを使うことで、訪問看護記録アプリ内にあらかじめ全身図を表示できるようにし、図の上にタッチペンなどでタブレット画面から直接書き込める機能を実現しました。
タブレットのみで記録が完了できるようにすること、そしてこれまで使っていた紙の訪問看護記録に近い形で記入できるようにすることで、現場のスタッフさんたちの負担にならない形でのデジタル化ができたのです。
手書きが必要な訪問看護記録のkintone化のメリット・デメリットとは?
プラグインによるカスタマイズで、これまでペーパーレス化が進められずにいた訪問看護記録のkintone化を実現することができました。
訪問看護記録のkintone化によるメリットは以下の通りです。
- タブレットとタッチペンで記入可能となりペーパーレスを実現できた
- ファイリングして保管する、という手間も場所も不要になった
- 日付やお客様の名前で検索ができるため、記録を遡りやすい
- 手書きライクな入力ができることで紙の時の手軽さはそのまま残すことができた
これだけのメリットが得られた一方で、プラグインの仕様上全身図に手書きで書き込む際は「データを一度保存してから図に記入する」という手順が必要となります。
元々が電子サインなどの「出来上がったものに対して追加記入する」という考えのプラグインとなるため、その他の文字情報を打ち込んだ流れでそのまま記入することはできず、保存というワンクッションを挟まなければならない点は注意が必要です。
手書き書類のkintone化でペーパーレス化を進めよう!
「あらかじめ記入した図を表示しておけるか」「kintoneだけで図に直接書き込みできるか」という2つのポイントをクリアし、一度は断念した 訪問看護記録のペーパーレス化を実現したアイリス南郊株式会社さま。
今回のような介護業の業務においては、ペーパーレスを実現することで記録する側もそれを管理する側も大きなメリットを得ることができます。
kintoneの標準機能やプラグインだけでは難しいことも、JavaScriptを使ったカスタマイズをおこなうことで可能性は大きく広がります。
皆さんの会社にも、図に直接書きこめることでペーパーレス化が進められる書類はたくさんあるのではないでしょうか?
「kintoneアプリ上で図への手書き入力ができるのなら、自社のあの書類も……!」と具体的に頭に浮かんだ方は、是非カスタマイズを検討してみてください。
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