建設業でkintone活用!工事台帳からアフターフォロー予定を自動作成|総合建設業 株式会社太昭組さまのアプリ開発事例
かつての建設業や建築業では「工事をして終わり」でしたが、現在はその後も継続したメンテナンスを実施し、お客様とより密な関係性を築くことが主流になっています。
家を建てて半年、一年、二年……と、長く住めば当然メンテナンスが必要な所が出てきたり、ライフスタイルの変化に応じてリフォームが必要になったり、お客様との関係性が続いていることで新たな受注につながることも少なくありません。
加えて、丁寧なサービスを提供することでご紹介に繋がるなど、「工事後のアフターフォロー」は決してないがしろにはできない業務です。
今回は、そんなアフターフォロー業務の管理をkintone化し、抜けもれなくお客様との接点を保つことができる仕組みを構築した事例をご紹介します!
目次
エクセルの工事台帳、アフターフォローの予定は別途管理
何度かコムデックラボにご登場いただいている株式会社太昭組さまは、山口県に本社を構える総合建設業の企業さまです。
kintone(キントーン)を活用して期別の目標に対する進捗管理を行ったり、人員配置をkintone化したり、さらには社内の申請承認をペーパーレス化したり、徐々に業務の中心をkintoneへ移行しています。
社内のリソース確保に欠かせない人員配置表をkintone化した事例はこちら!
▼krewSheet Xrossモードで工事の人員配置表をkintone化!
そんな株式会社太昭組さまが業務をデジタル化しようと考えたきっかけのひとつは、冒頭でご紹介したような「アフターフォロー業務」にありました。
土木工事に加えて一般建築、住宅建築も手掛ける株式会社太昭組さまでは、年間150件ほどの工事があります。
それらの全てにアフターフォローが必要というわけではありませんが、元々株式会社太昭組さまでは「アフターフォローが必要な工事」も「アフターフォローが不要な工事」も全てひとつのエクセルで管理を行っていました。
工事台帳のエクセルではアフターフォローの予定まで管理しきれないため、別途アフターフォロー管理のためのエクセルを作成。
引渡日から自動で3か月~10年までのアフターフォローの期日を計算し、条件書式で色を変えるなど、工夫して予定を管理していました。
当時のアフターフォロー予定管理の手順は以下の通りです。
- 工事の引き渡しが終わったらエクセルに行を追加して予定を確認できるようにしておく
- 2か月先のアフターフォロー対象工事を抽出し、別途一覧を作成
- アフターフォローの実施状況を確認し、実施日を入力
アフターフォローの方法は、電話や直接訪問、ハガキなどその年によって異なり、期間についても「最長は10年」ですが工事によってはそこまで実施しないものもあります。
これらの情報を担当者の方が毎月確認して手動で一覧を作成していたため、属人的な業務であるだけではなく手間もかかり、抜け漏れの恐れもある状態でした。
アフターフォローを抜けもれなく実施してお客様との接点を強化するのはもちろん、業務の一部を外注化していくという方針もあり、アフターフォローの予定管理を効率的に行える環境を整えたいというのが株式会社太昭組さまがkintone活用を考えるきっかけのひとつだったのです。
工事台帳をkintoneへ移行、アフターフォロー予定は自動計算
アフターフォローの予定を管理するために重要となるのは「お客様に物件を引き渡した日」です。
引渡日を基準として、10年目までのアフターフォロー予定日を自動で算出させる必要があります。
引渡日の情報は工事台帳のエクセルで管理されており、またその他全ての業務の中心となるのはこの工事台帳ということで、まずは工事台帳のkintone化から始めました。
工事の基本情報はもちろん、細かい契約金額や重要書類へのリンクなども格納し、工事台帳のエクセルだけでは難しかった発注情報の集約も関連レコードで実現。
「工事台帳を見ればその工事に関する全ての情報が確認できる」一元管理の状態を作り、そこを起点にしてアフターフォローの管理もできるように構築していきました。
引渡日が入力されると、自動的に10年先までのアフターフォロー予定日が計算されます。
この設定には、TIS社製の「日付計算プラグイン」を利用しました。
アフターフォロー実施内容は、基本的には初期値の設定で「その年の基本のアフターフォロー方法」が選択されるように設定しておき、イレギュラーな場合だけ手動で選択肢を変えてもらう形です。
これなら、同じ工事管理のアプリ内でアフターフォローの予定日を管理できるため、「引き渡し後にアフターフォロー予定を管理するためのエクセルに手動で追加する」処理は必要ありません。
kintoneで管理はできる、でもわかりにくい……
工事台帳をkintone化し、アフターフォローの期日も自動計算することで、今月、翌月、翌々月にメンテナンスを実施する先を工事管理アプリ内で自動抽出して確認できるようになりました。
来月のメンテナンス先を一覧で表示したのがこちら!
赤い部分は「既にアフターフォローが終わっている年」になっています。
元々のアフターフォロー管理エクセルに近いように見えますが、この管理方法には大きな問題点が二つありました。
ひとつめの問題は、「表示対象に柔軟性がない」ことです。
日付の自動計算を行うため、各年のアフターフォロー期日は独立した項目になっています。
各期日項目に対して、「10年目までの期日の内、どれか一つでも今月に該当すれば表示する」という絞り込みを行っているため、例えば「完了したものは自動的に一覧から除く」ことや、「そもそもアフターフォローを実施しない工事は表示しない」といったことができません。
一覧上に「アフターフォローを実施する先か否か」の項目を表示しておくことは可能ですが、そもそも実施しない先は一覧に表示されてほしくないのが本音です。
ふたつめの問題は、「何回目のアフターフォローなのかわかりにくい」ということです。
終わったところまでを赤く表示してはいますが、一体その工事が何回目のアフターフォローに該当するのかといったことは目視で確認するしかないのです。
せっかくkintoneでデータを管理しているなら、何回目なのかといった情報も自動で算出してほしいですよね。
代替案として、「来月〇年目アフターフォロー一覧」というような回数ごとの一覧を作成し、スペースに全ての一覧を張り付ける試みもありましたが、結果としては「見にくく、使いにくい」ということで一つのアプリ内で管理する方法は断念しました。
実績管理は別アプリへ、krewDataでアフターフォロー対象先を自動抽出!
一度は断念したアフターフォロー予定管理ですが、予実管理のためにkrewData(クルーデータ)を導入したことで転機が訪れます。
krewDataは複数のアプリのデータを集計して、また別のアプリに出力したりといった処理を可能にするプラグインです。
株式会社太昭組さまでは、krewDataで部門別の目標と実績を自動集計させていました。
予実管理をkintone化し、目標に対する進捗を自動で見える化した事例はこちら!
▼kintoneで予実管理!実績集計はkrewDataで自動化
このkrewDataを活用すれば、自動的に「翌々月のアフターフォロー対象先」を絞り込んで、別のアプリで一覧として確認できるのでは?と考えた株式会社太昭組さま。
確かに、krewDataの機能を使えば、「アフターフォローを実施しない先」は最初から除くことができますし、出力した先の一覧なら「実施完了したところは一覧から削除する」ことも容易です。
合わせて、「今回のアフターフォローが何回目なのか」という情報も自動入力できるため、早速krewDataで自動的にアフターフォロー対象先の絞込みとデータ作成ができるように設定しました。
krewDataの活用により、毎月ワンクリックで翌々月にアフターフォローを実施すべき先が自動登録されるようになりました。
レコードが自動登録される時点で「工事の名称や発注者、場所、引渡日、当時の現場担当者、アフターフォローの方法と予定日、何年目のアフターフォローなのか」といった情報が入力されているため、あとは担当者が実施したタイミングで日付などを入れるだけ。
過去のアフターフォロー実施履歴も表示されるようになっているため、前回の内容をわざわざ調べる必要もありません。
一覧には「まだアフターフォローができていない先」だけが表示され、実績が入力されれば自動的に一覧には表示されなくなります。
一目でアフターフォローが終わっていない先を判断でき、抜け漏れなく運用することが可能となりました。
案内ハガキもkintoneから出力
予定だけではなく、実績もkintoneで管理できるようになった株式会社太昭組さまでは、さらなる業務効率化の一手として申請承認のペーパーレス化の際に活用したプリントクリエイターをアフターフォロー管理にも設定しました。
プリントクリエイターは、kintone内の情報を自社独自のフォーマットに合わせて出力・印刷ができるプラグインです。
プリントクリエイターについてはこちらの記事で詳しくご紹介しています!
▼kintoneで帳票を簡単に作成・PDF出力したい!便利なプラグイン5つを徹底比較!
住所や宛名の情報は取引先管理アプリに入っているため、ルックアップ機能で参照してくることで入力の手間を省くことができます。
連名の場合などは少しデータを修正する必要がありますが、自動的に宛名やご案内文章の入ったハガキを出力できるようになりました。
複雑な承認申請もkintoneで実装し、ペーパーレス化に成功した事例はこちら!
▼kintoneプロセス管理機能でワークフロー設定!複数承認もオンラインで
アフターフォロー管理をkintone化してきめ細やかなサービスを
工事台帳をkintone化したことで、アフターフォロー予定の自動登録を実現した株式会社太昭組さま。
10年というかなり先のアフターフォロー予定まで自動で管理でき、ボタン一つで「翌々月に実施すべきアフターフォロー先」が自動抽出されるため抜け漏れの心配がありません。
それだけではなく、実績入力やアフターフォローに必要なハガキの印刷もkintoneから行うことで、「kintoneだけでアフターフォローを完結させる」ことができるようになりました。
今後はアフターフォロー実績も蓄積されるため、何年目でどのようなメンテナンスが必要になってくるのか、またどのようなお声掛けが効果的なのかといった分析も可能となります。
「工事を行って引き渡す」ところがお客様との長いお付き合いのスタートと考えてアフターフォローを大事にすることで、株式会社太昭組さまはよりきめ細やかなサービスを提供できるでしょう。
同じようにアフターフォローの管理に悩まれている建設業・建築業の企業様は、是非kintone活用を検討してみてはいかがでしょうか?
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