労働時間管理の必要性とは?ガイドラインや管理のポイントを解説
従業員の給与を正確に計算するためには、労働時間を適正に管理する必要があります。
しかし、労働時間管理の大事さは認識しているものの「適正に管理ってどうやったらいいの?」「労働時間管理を適切に行うためのポイントを知りたい」という勤怠管理担当者も多いのではないでしょうか。
この記事では、厚生労働省が示しているガイドラインを元に、労働時間管理の必要性や適正な労働時間管理を行うポイントについて解説します。
この記事でわかること
- 労働時間の定義
- 労働時間管理の必要性
- ガイドラインに則った労働時間管理方法
こんな人におすすめの記事です
- 労働時間管理の必要性が知りたい方
- ガイドラインに則った労働時間管理方法を知りたい方
目次
労働時間の定義とは?
労働時間とは、労働者が使用者の指揮命令下に置かれている時間のことです。
そして、労働時間を適切に管理することが労働時間管理となります。
労働時間と似たような言葉で「勤務時間」がありますが、両者は明確に異なります。
勤務時間は始業時間から就業時間、つまり会社にいる時間を指します。
一方の労働時間は、大まかにいうと勤務時間のうち休憩時間を引いた時間になります。
勤務時間の計算方法についてはこちら!
▼勤務時間とは?正しい計算方法を具体例を用いて解説します
労働時間と勤務時間の違いや正しい計算方法については、こちらの記事で詳しく解説しています。
▼労働時間の正しい計算方法・残業代を計算する際の注意点
労働時間管理は全ての企業が全労働者に対して必要
働き方改革の一環として、2019年4月に労働安全衛生法が改正され、企業が従業員の労働時間を客観的に把握しておくことが義務化されました。
会社の規模に関わらず適用され、全労働者が労働時間管理の対象とされています。
労働時間管理は全企業の義務
従業員数が少ない小規模企業も労働時間管理は必要ですが、不要であると誤認しているケースが少なくありません。
これは、「社会保険の加入条件」や「就業規則の作成条件」が誤認の要因となってると考えられます。
社会保険加入は従業員5名以上、就業規則作成は従業員10名以上雇用した場合にそれぞれ加入義務と作成義務が発生しますが、労働時間の管理はこの限りではありません。
労働者の健康確保という観点から、労働時間管理は原則として従業員を雇用する全企業の義務です。
1人でも従業員がいれば労働時間管理が必要ですので注意しましょう。
労働時間管理は全企業の義務
全企業が行うべき労働時間管理ですが、管理の対象は全労働者です。
「全労働者」の中には通常残業代を支払う義務のない「管理監督者」と「みなし労働時間制の適用者」も含まれます。
ただし、会社法により役員は「使用者」と定義されているため、労働時間管理の対象には含まれません。
整理すると、労働時間管理の義務を負う労働者とは、「会社法が定める役員を除く全ての従業員」であるといえます。
管理監督者の勤怠管理については以下の記事でも解説していますので、詳しく知りたい方はぜひご覧ください。
▼管理監督者の勤怠管理が義務化!管理職の勤怠管理方法と注意点を解説
ガイドラインに記載されている労働時間管理として行うべき4つの措置
厚生労働省は「労働時間の適正な把握のために使用者が講ずべき措置」をガイドラインとして発行しています。
ガイドラインの概要
- 始業・就業時間を確認し、記録すること
- 客観的な勤怠記録を取ること
- 労働時間を賃金台帳に記録すること
- 労働時間の記録に関する書類を保存すること
各ポイントについて、詳しく解説していきます。
ガイドラインについてはこちらの記事でも詳しく解説しています。
▼労働時間の適正な把握のために使用者が講ずべき措置に関するガイドラインとは?対応するための方法を解説
始業・終業時刻の確認・記録
使用者は労働日ごとに従業員の始業終業時刻を確認し、記録しておかなければなりません。
始業・終業時刻を記録した上で、その中で何時間働いたかを把握し、所定労働時間や残業時間、深夜時間など異なる割増率の時間帯ごとの労働時間を確定させる必要があります。
客観的な勤怠の記録を取る
労働時間管理は客観性が重要ですので、自己申告の勤怠管理は原則認められません。
ガイドラインにおいては、始業終業時刻を確認、記録する方法として下記2つを示しています。
- 使用者が自ら現認
- タイムカード、ICカード、パソコンの使用時間を基礎とする
なお、やむを得ず自己申告制とする場合には「十分な説明を行うこと」「勤怠管理担当者へガイドラインの内容を説明すること」「自己申告の時間と実際の労働時間の乖離調査補正を行うこと」などの条件があります。
労働時間を賃金台帳に記録する
使用者は各事業場ごとに賃金台帳を作成しなければなりませんが、総労働時間や賃金をおおまかに記録しておくだけでは不十分です。
賃金台帳には、以下のような給与計算をする際に必要な事項やその賃金を細かく記録しておく必要があります。
- 労働日数
- 労働時間数
- 時間外労働時間数
- 休日労働時間数
- 深夜労働時間数
労働時間の記録に関する書類は5年間保存
タイムカードや賃金台帳、残業申請書などの労働時間の記録に関する書類は5年間の保管義務があります。
なお、保管期間の起算日はタイムカードは給与の支払いが完了した日、賃金台帳は最後の記載がなされた日です。
いくつかの書類を同時に廃棄するといった運用では、誤って5年経つ前に廃棄してしまう恐れがありますので注意しましょう。
また、法人税の解釈の仕方によっては7年保管が必要となる可能性もあります。
各社の状況によって異なるため、気になる方は税理士や社会保険労務士といった専門家に相談することをおすすめします。
書類の保管期間についてはこちらの記事で詳しく解説していますので、合わせてご覧ください。
▼タイムカードを含む勤怠データの保管期間は基本は5年!違反した際の罰則は?
適切な労働時間管理を行う4つのポイント
ガイドラインに基づいて労働時間を管理するにあたって、やみくもに行うと非効率であったり、法令違反となってしまったりする可能性があります。
ここでは、適切な労働時間管理を行う際のポイントを4つ解説します。
働いた時間に応じて給与や手当を支払う
日々の労働時間を15分単位等で切り捨てて集計したり、遅刻や早退を切り上げて集計したりしていませんか?
たとえ事務手続き上の間違いや、自社の慣習的ルールであったとしても、労働した分を正確に支払わなければ法律違反です。
労働時間管理は明確なルールの下、正確に把握できるような仕組みを整えましょう。
労働時間の切り捨てや切り上げについては、一定の条件で認められる場合もあります。
こちらの記事で詳しく解説していますので、自社のルールが適切なのかどうかを判断したいときには参考にしてみてください。
▼時給を15分単位で計算する際の注意点・正しい勤怠の計算方法
法律の上限を超えないように残業時間を管理する
企業が従業員に残業をさせるためには、36協定という労使協定を締結する必要があります。
しかし、36協定を結んでいるからといって、無限に残業させてもよいわけではなく、法律上の上限があります。
届け出ている上限値を超えて従業員を働かせてしまうと法律違反となってしまい、罰則が課されます。
また、罰則以上に、世間や関係会社からの評価が下がり、取引面や採用面で大きな打撃となり得ますので、上限を超えないように残業時間の管理を徹底しましょう。
残業時間の上限規制についてはこちらの記事で詳しく解説していますので、合わせてご確認ください。
▼時間外労働の上限規制とは?法改正のポイントをわかりやすく解説します
長時間労働にならない組織体制を整える
長時間労働の防止は、残業時間の上限管理のためにも、従業員の健康維持のためにも不可欠です。
そのためには、単に従業員に呼びかけるだけでなく、長時間労働にならない組織体制を整える必要があります。
従業員を新規採用して一人当たりの労働時間や残業時間を減らしたり、忙しい部署とそうでない部署とで人材配置を見直したり、組織の役割を整えたりといった対応を検討しましょう。
なお、これらの対策は人事部門単独では難しいため、経営層や各部署との密な連携が必要となります。
適正な労働時間管理のメリットを経営層と従業員に広める
人事部門だけが適正な労働時間管理の必要性を訴えかけても、一朝一夕では労働時間管理に対する意識を変えることは難しいかもしれません。
経営層をはじめ、従業員全体に適正な労働時間管理の必要性やメリットを周知し、従業員一人一人の意識を変革していきましょう。
効率的に労働時間管理を行うには勤怠管理システムの導入がおすすめ
ガイドラインに記載されている行うべき措置すべてを勤怠管理担当者が対応するのには限界があります。
複雑な勤怠管理を効率的に行うには、勤怠管理システムの導入がおすすめです。
勤怠管理システムでは、ガイドラインで示されている客観的な勤務時間・労働時間の管理や賃金台帳への記録、保管といった必要な項目を網羅することができます。
数ある勤怠管理システムの中でもおすすめなのが、シェアNo1の実績があるKING OF TIME(キングオブタイム)です。
豊富な機能を揃えており、業種や規模を問わず導入することができる勤怠管理システムとなっています。
KING OF TIME(キングオブタイム)の詳細に関しては、以下記事をご覧ください。
▼KING OF TIME(キングオブタイム)の評判は?料金や導入事例を解説
複雑な労働時間の管理を勤怠管理システムで効率化しよう!
労働時間の管理をガイドライン通りに対応することはなかなか難しいものです。
とはいえ、法令遵守や従業員のためにも、適正な労働時間管理は必須と言えます。
勤怠管理システムを導入し、効率的に労働時間管理を行うことを検討してみましょう。
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