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有給休暇取得日の給与計算方法は?3つの計算方法と注意点を解説

有給休暇取得時の給与計算方法

有給休暇取得日の給与を計算するには3つの計算方法があり、就業規則で定められた方法で計算を行う必要があります。
しかし、就業規則に記載された文章だけではどのように計算して良いか迷ってしまう方もいらっしゃるでしょう。

今回の記事では、有給休暇取得日の3つの給与計算方法について、具体的な計算方法や注意点を解説します。
退職時の精算方法までご紹介していますので、有給休暇に関わる給与計算をミスなく効率的に行いたい担当者の方は是非最後までご覧ください。

この記事でわかること

  • 有給休暇の給与計算方法にはどのような種類があるのか
  • それぞれの給与計算方法についての具体的な内容
  • 退職時の有給休暇消化の計算方法

こんな人に向いている記事です

  • 有給休暇の給与計算方法を知りたい方
  • ミスなく給与計算を行いたい方

有給休暇の概要

一定の条件を満たした従業員に対しては、正社員、パート・アルバイト問わず有給休暇を取得させなくてはなりません。
まずは有給休暇の付与条件や計算方法の概要について詳しく解説します。

有給休暇の付与条件

雇い入れの日から6ヶ月間の勤務を継続し、その期間に労働日の8割以上出勤した従業員に対しては、有給休暇を付与しなくてはなりません(労基法39条1項)。

付与する有給休暇の日数については、従業員の所定労働時間や勤続年数によって異なりますので、詳しくは厚生労働省のサイトでご確認ください。
https://www.mhlw.go.jp/new-info/kobetu/roudou/gyousei/dl/140811-3.pdf

有給休暇を付与された従業員は、自身が希望する日に有給休暇を取得することが可能です。
その場合、会社としては基本的に拒否することはできません。

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有給休暇の給与計算3つの方法

従業員が有給休暇を取得した場合、取得日の給与は通常の給与とは別の方法で計算する必要があります。

計算方法は以下の3つですが、どの方法で計算を行うかについては会社ごとに就業規則で定めています(労働基準法第39条第9項)。
あらかじめ決められた方法で計算する必要があるため、従業員ごとや部署ごとに都度会社にとって都合の良い計算方法を採用することはできません。

ただし、「正社員」や「パート」等働き方別に就業規則(賃金規定)を設けている場合には、それぞれの就業規則で異なる計算方法を定めることが可能です。

有給休暇取得時の給与計算方法

  • 通常の賃金を支払う計算方法
  • 平均賃金を支払う計算方法
  • 標準報酬日額を支払う計算方法

ここからは、それぞれの計算方法について解説していきます。

有給休暇で通常の賃金を支払う計算方法

多くの企業で採用されているのが、有給休暇で通常の賃金を支払う計算方法です。
通常の賃金計算と同じように計算を行えば済むため、改めて有給休暇取得日のための給与計算を行う必要がなく、事務処理が簡単なことが多くの企業で採用されている理由となります。

通常の賃金で支払う場合の計算方法

通常の賃金による計算方法は、労働基準法施行規則第25条に定められています。
当然ですが従業員がどの給与形態を取るかによって計算方法が異なり、週給制・月給制の場合には一日当たりの金額を算出する必要があります。

通常の賃金を支払う場合の有給休暇の給与計算方法

  • 時給制の場合…時給×所定労働時間
  • 日給制の場合…日給の額
  • 週給制の場合…週給÷有給を取得した週の所定労働日数
  • 月給制の場合…月給÷有給を取得した月の所定労働日数
    ※ただし、労働日数の増減によって給与額の変わらない月給制の場合には、「欠勤扱いとならない」だけなので特に有給休暇取得の給与計算を行う必要はありません。

つまり、これらの計算方法による場合には、有給休暇取得日にも出勤したものとして通常通りに給与計算を行えば問題ありません。

ただし、出来高払制・その他の請負制で給与計算をしている場合は以下の計算を行います。この計算方法は、労働基準法施行規則第25条6号に規定されています。

出来高制・請負制で有給休暇を取得した場合の給与計算方法

賃金の総額÷労働時間の総数×1日当たりの平均所定労働時間

例えば、出来高払いの賃金として15日間100時間の労働で15万円が支払われていた従業員について、平均所定労働時間が5時間の場合には、1日当たりの有休休暇取得相当額は以下のような計算式になります。

150,000円÷100時間×5時間=7,500円

通常の賃金で支払う場合の注意点

通常の賃金を支払う方法を採用する場合に注意すべき点としては、アルバイトなどで日ごとに所定の労働時間が異なる場合に、有給休暇を取得した日の所定労働時間によって給与が異なるということです。
とは言え、アルバイトやパートの場合にはあらかじめ「有休休暇を取得すること」を織り込んでシフトを作成するため、「有給休暇を取得した日の所定労働時間」はわからないことが多いのではないでしょうか。

そのため、パートやアルバイトの場合には、労働者にとって著しく不利益とならなければ便宜上雇用契約書に定められた日の契約労働時間する形でも問題ないとされています。
厳密に支払いを行いたい場合には、次にご紹介する平均賃金を支払う計算方法がおすすめです。

有給休暇で平均賃金を支払う計算方法

アルバイトやパートが多く、所定労働時間が従業員ごと・日ごとに異なる場合には、平均賃金を支払う計算方法を採用することで有給休暇取得時の給与を一定にすることが可能です。

平均賃金で支払う場合の計算方法

平均賃金は次の計算式で算出します。

平均賃金で支払う場合の有給休暇の給与計算方法

平均賃金=直近3ヶ月間で当該従業員に支払われた賃金の総額÷直近3ヶ月の総日数

この計算方法では、休日を含めた総日数で計算を行うため、通常の賃金を支払う計算方法を採用する場合に比べ、有給休暇一日当たりの給与が低く計算されることが多くなります。
もし有給休暇を取得した従業員の直近3ヶ月間の勤務日数が極端に少ない場合には、次の方法での計算も行ったうえで、上記の計算式と比べて高い方の金額を採用します。

直近3か月の勤務日数が少ない場合の有給休暇の給与計算方法

直近3ヶ月間で当該従業員に支払われた賃金の総額÷その期間中の労働日数×60%

例えば、直近3ヶ月間で当該従業員に支払われた賃金の総額が45万円で、その期間の労働日数が45日間の場合、以下のような計算になります。
450,000円÷45日×60%=6,000円

対して、3ヶ月間の総日数のままで計算をすると、以下のような計算になります。
450,000円÷90日=5,000円

この場合、有給休暇1日当たりの給与計算額は金額が高くなる6,000円を採用する必要があります。
つまり、直近3ヶ月の労働日数が少ない従業員についても、日給の60%に相当する額は最低限保障されるということになります。

平均賃金で支払う場合の注意点

平均賃金を支払う方法を採用する場合には、平均賃金を算出するために過去三か月の給与額や出勤日数を集計する必要があるため、給与計算の担当者の負担が増えるという点に注意が必要です。
また、期間中の総日数で計算する方法と労働日数で計算する方法、どちらが高くなるかを確認する必要もあります。

有給休暇で標準報酬日額を支払う計算方法

3つ目の計算方法は、健康保険料の計算で用いられる標準報酬月額を日割りした「標準報酬日額」を有給休暇取得時の給与とする方法です。
この計算方法は、標準報酬月額がわかっていれば改めて計算する手間がかからないというメリットがあります。

標準報酬で支払う場合の計算方法

標準報酬日額は、標準報酬月額÷30という計算式で算出されます。

標準報酬月額は、健康保険料の算出に使用されるもので、月の給与等の報酬を50等級に区分された等級表にあてはめたものです。
具体的な等級表と保険料率については、加入する健康保険や都道府県ごとに異なりますが、参考例として協会けんぽの保険料額表のリンクを掲載しておきます。
https://www.kyoukaikenpo.or.jp/g7/cat330/sb3150/

標準報酬で支払う場合の注意点

標準報酬日額による計算方法の注意点としては、通常の賃金による計算方法と比べて給与が低く計算されてしまう可能性があるということです。
そのため、この計算方法を採用するためには労働者側との労使協定を結ぶ必要があります。

退職時の有給休暇について

従業員の退職時には、退職日までに有給休暇を消化してもらい、有給休暇残数が0日の状態で退職をしてもらう方法が一般的です。
しかし、業務の状況によっては有給休暇を使いきれず、そのまま退職せざるを得ないケースもあります。

有給休暇の買取は基本NG、ただし退職時は例外も

本来有給休暇とは、給与を減らされることなく従業員に休息を取ってもらうための休みのため、買取は原則NGとされています。
※労働基準法で定められた以上の有休を与えている場合や、2年の有効期限が過ぎて失効する有休の買取は例外的に認められています

しかし、退職後は休暇を取得する権利がなくなってしまうため、退職時に限り会社によっては買取を行っているところもあります。

とは言え、退職時の有給休暇の処理については法律では定められていないため、精算を行うか否かは各社の判断に任せられています。
もし買取を行う場合には、有給休暇を通常通り取得した際の金額と同じ方法で計算を行うのが望ましいでしょう。

なお、買い取った有休を賞与として扱うか退職所得として扱うかについては、自社の就業規則を確認しましょう。

退職月の給与計算についてはこちら!
▼退職月の給与計算の方法と注意点【計算方法の具体例あり】

有給休暇の給与計算を効率的に行う方法

ここまで有給休暇取得時の給与計算方法を3つご紹介しました。
これらの有給休暇の給与計算を効率的に行う方法として、クラウド型給与計算ソフトの導入がおすすめです。

クラウド型給与計算ソフトでは、「通常の賃金で支払う場合」と「標準報酬月額で支払う場合」は自動で計算を行うことができます。
従業員ごとに月給額や標準報酬額を所定労働日数または固定値で割って有給休暇1日当たりの給与額を算出しなくても、有給休暇取得日数を元に自動計算できるのです。

コムデックのおすすめするクラウド型給与計算ソフトは、会計や経費まで連動して利用できる「マネーフォワードクラウド給与」です。
外部の勤怠管理システムとの連携も可能で、給与計算に関わる業務を正確かつ早く処理することができるため、給与計算でお困りの方は導入を検討してみてはいかがでしょうか。

「マネーフォワードクラウド給与」で有給休暇の給与計算を効率的に行う

有給休暇の基本的な計算方法を押さえて正確な給与計算を行おう

従業員ごとに有給休暇の取得状況を確認して、給与計算を行うのはなかなか手間のかかる作業です。
そもそも、有給休暇の給与計算を正確に行うためには、まず自社で採用されている基本的な計算方法を押さえる必要があります。

有給休暇の給与計算業務に関わらず、給与計算に時間がかかっている、振込日の前は毎月あわただしい……という企業さまは、ミスなく効率的に給与計算ができるクラウド型給与計算ソフトを導入してみてはいかがでしょうか?

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この記事を書いた人

徳田 幾美

『勤怠管理のスペシャリスト』

日本人の心のふるさとである”三重県伊勢市”を拠点に、中小企業のDX化を支援しています。 勤怠管理クラウドKING OF TIMEやMoneyForwardクラウド給与の導入を得意とし、脱タイムカード・給与明細の電子化から人時生産性の向上まで、他クラウドサービスも含めたトータルサポートをご提案しています。 「紙のタイムカードや出勤簿を手で集計していて時間がかかる」「給与明細を手渡ししている」勤怠管理や給与計算でお悩みの企業様、是非一度ご相談ください!

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