勤怠管理とは?効率的な方法とクラウド勤怠管理システムの選び方
働き方改革が進み、残業時間や有給休暇に関する法律が改正されるなかで、企業が管理すべき勤怠項目は増えてきました。
働き方の多様性も求められていることから、企業が管理すべき従業員の「勤怠」は今後も複雑になっていくことが予想されます。
今回の記事では、基本に立ち返り「勤怠管理とは何なのか」「何を管理すべきなのか」というところから、それらを押さえつつ効率的に勤怠を管理する方法まで解説します。
この記事でわかること
- 勤怠管理の概要と目的
- 勤怠管理の方法
- 勤怠管理システムの選び方
こんな人に向いている記事です
- 勤怠とは何を管理すべきなのかを知りたい人
- 効果的な勤怠管理の方法を探している人
目次
勤怠管理とは?
勤怠管理とは、企業が従業員の就業状況を把握し、適切に管理することをいいます。
勤怠を正しく管理することは、適正な賃金を支払うために不可欠であり、過重労働を防止する意味でも重要です。
労働基準法では、勤怠管理が企業の義務として位置づけられており、労働時間や休憩時間をはじめとする次のような項目について管理する必要があります。
- 出勤・退勤時刻
- 労働時間
- 休憩時間
- 残業時間
- 休日労働時間
- 出勤日数
- 欠勤日数
- 有休取得日数
- 遅刻早退
ここで挙げたのはあくまで最低限の基本的な項目になるため、企業によってはさらに多くの項目を管理していらっしゃることでしょう。
これらの勤怠項目の中でも、特に管理すべきなのは「労働時間」と「休憩時間」の二つです。
労働時間の定義
労働時間とは、労働者が使用者の指揮命令下に置かれた時間を指し、拘束時間から休憩時間を除いた時間のことを言います。
労働時間は法律で原則1週間について40時間、1日について8時間を超えてはならないとされています。
したがって、この範囲を超えて労働させる場合(残業が発生する場合)には労使協定(36協定)の締結・届出が必要になります。
届出を行った上で、1週間40時間、1日8時間(法定時間)を超える労働時間は「時間外労働」として割増賃金を支払わなければなりません。
その他にも、22時から翌日朝5時までの深夜時間帯に労働した場合や、法定休日に労働した場合等、割増賃金が発生するケースは多々あります。
休憩時間の定義
休憩時間の定義休憩時間とは、労働者が休息のために労働から解放されている時間を指します。
労働時間の長さによって、必要な休憩時間が次のとおり決められています。
ここで示されている休憩時間は「法律で定められている最低限のライン」となりますので、多い分には問題ありません。
労働時間の長さ | 付与すべき休憩時間 |
6時間以下 | 不要 |
6時間を超え8時間以下 | 少なくとも45分 |
8時間を超える | 少なくとも1時間 |
また、付与の仕方にも3つの原則があります。
- 労働時間の途中に付与する(例外:運輸交通業、郵便通信業など)
- 事業場の全労働者一斉に付与する(例外:労使協定を締結した場合)
- 自由に利用させる(例外:警察官、消防吏員など)
休憩時間については、よく「昼休みの電話・来客当番」や「ランチミーティング」などがグレーゾーンとして問題になります。
これらが休憩にあたるかどうかは、自由に休息できる状況か否かがポイントになりますが、「電話を受けるため・打合せのためにその場にいなくてはならない」場合には「休憩ではない(=労働時間)」と見なされるケースも多いため、注意が必要です。
勤怠管理の目的
「勤怠管理」とは一体何を管理するものなのかがわかったところで、ここからは「何のために勤怠を管理するのか」「何故勤怠管理をしなくてはならないのか」を確認していきましょう。
まず、勤怠を管理する目的はどんな企業でも主に以下の3つです。
- 正確な就業状況を把握し、賃金に反映するため
- 過重労働を防止し、健康管理を行うため
- コンプライアンス(法令遵守)のため
社員の就業時間を正確に把握することで、正しい賃金の支払いを行い、なおかつ長時間労働を防止し従業員の健康を保つことができるようになります。
三つ目の「法令遵守のため」については、次のセクションでご説明します。
勤怠管理が必要な理由
勤怠管理は、労働基準法で企業の義務として定められています。
具体的には、労働基準法に次のような条文があります。
第109条(記録の保存)
使用者は、労働者名簿、賃金台帳及び雇入、解雇、災害補償、賃金その他労働関係に関する重要な書類を五年間保存しなければならない。
※労働時間の適正な把握 のために使用者が講ずべき措置に関するガイドラインより引用
https://www.mhlw.go.jp/file/06-Seisakujouhou-11200000-Roudoukijunkyoku/0000187488.pdf
出勤簿やタイムカードなど勤怠に関する記録は、条文で言う「その他労働関係に関する重要な書類」にあたり、企業は5年間の保存を義務づけられています。
※2020年4月1日の法改正により、3年から5年に延長
労働基準法ではこの他にも「残業の上限規制」や「有給休暇の取得義務」などが定められており、違反した使用者には「6か月以下の懲役または30万円以下の罰金」などの厳しい罰則が課される場合もあります。
正しい勤怠管理を行うことは、従業員を過重労働から守ると同時に、企業を労働問題から守る意味でも必要だと言えます。
勤怠管理の対象となる企業・事業所・従業員
勤怠管理の対象となるのは、労働時間に関する規定(労働基準法第4章)が適用される全ての企業・事業所です。
この規定が適用されないのは「農業」「畜産業」「水産業」の3業種のみのため、それ以外の全ての事業所で勤怠管理が必要となります。
また、勤怠管理の対象となる従業員は、原則すべての従業員です。
ただし、次の4つに該当する場合は対象外となります。
- 管理監督者(例:工場長、部長など)
- 機密の事項を取り扱う者(例:役員秘書など)
- 監視又は断続的労働に従事する者※(例:寄宿舎の管理人、役員専属運転手など)
- みなし労働時間制が適用される者※
①の管理監督者について、よく問題に上がるのが「名ばかり管理監督者」の存在です。
管理監督者=管理職というわけではなく、労働基準法上の管理監督者とは実質経営者と同じ立場にある者のことを言います。
「管理監督者にすれば勤怠管理が要らない」「残業代を払わなくて良い」ということではないため注意が必要です。
※③は使用者が行政官庁の許可を受けた場合に限り対象外となります。
※④みなし労働時間制とは、企業が労働時間を把握するのが難しい場合や、労働者本人に労働時間の配分を決めてもらった方が合理的な場合に適用される制度です。
具体的には3種類あり、それぞれ「事業場外みなし労働時間制」「専門業務型裁量労働制」「企画業務型裁量労働制」と呼ばれます。
勤怠管理の方法
勤怠管理の方法は、厚生労働省のガイドラインで次のように定められています。
使用者が始業・終業時刻を確認し、記録する方法としては、原則として 次のいずれかの方法によること。
(ア)使用者が、自ら現認することにより確認し、適正に記録すること。
(イ)タイムカード、ICカード、パソコンの使用時間の記録等の客観的 な記録を基礎として確認し、適正に記録すること。
※労働時間の適正な把握 のために使用者が講ずべき措置に関するガイドラインより引用
https://www.mhlw.go.jp/file/06-Seisakujouhou-11200000-Roudoukijunkyoku/0000187488.pdf
簡単に言うと、労働者の勤怠は使用者が自分の目で確認し、客観的なデータで記録するのが原則である、ということです。
また、やむを得ず自己申告によって記録する場合には、次のような措置を講じることが定められています。
(ガイドライン要約)
- 自己申告制の対象となる労働者とその管理者に対し、実態を正しく記録するよう十分な説明を行う
- 自己申告による労働時間と、実際の労働時間が合致しているかどうかは、必要に応じて実態調査と是正を行う(パソコン使用時間との照合など)
- 使用者が残業申告を認めないなど、労働者の適正な申告を阻害することがないようにする
以上の勤怠管理の大前提を押さえた上で、実際に現場で勤怠管理をする具体的な方法について、代表的なものを4つご紹介します。
タイムカード
事業場にタイムレコーダーと呼ばれる機械を設置し、1人1枚の紙製タイムカードを機械に差し込んで時刻を印字する、昔ながらの方法です。
この方法で勤怠管理を行っていらっしゃる企業も多いのではないでしょうか?
シンプルで使いやすく、説明も不要というメリットがあります。
その反面、毎月従業員分のタイムカードを作成・回収する必要があり、出勤・退勤時刻など最低限の情報しか記録されないため、集計作業の負担は大きくなります。
また、打刻漏れや他人のカードを誤って(ときには故意に)押してしまったりするトラブルが起きやすいのも特徴でしょう。
エクセル
表計算ソフトのエクセルでカレンダーのような表を作成し、従業員が各自で出勤・退勤の時刻などを入力する方法です。
パソコンさえあれば無料で導入でき、自社の勤務形態に合わせたフォーマットも自由に作成できます。
あらかじめ計算式を設定しておけば、労働時間や残業時間も自動で集計できます。
一方で、入力作業は従業員任せになるため、ミスや不正が起きやすいという面もあります。
ある程度の従業員数に対応できますが、時間が経つにつれフォーマットが崩れたり計算式が壊れたりと、労務担当者を悩ませることもあります。
出勤簿
紙の出勤簿に手書きで記録するアナログな方法です。
難しい操作が一切なく、費用もかからないのがメリットです。
ただし、この方法は自己申告の要素が強くなるため、先ほどご紹介した「自己申告制に関するガイドライン」の措置を徹底する必要があります。
また、集計から分析まで全てが手作業になるため、従業員数の多い企業には適さないと言えます。
クラウド勤怠管理システム
クラウドとは、パソコンやタブレット、スマートフォンなどの端末に、インターネットを通してサービスを提供する形式です。
クラウドサービスでは、インターネット上でログインさえすればいつでもどこでも利用できるという特徴があります。
身近なところではGoogleの「Gmail」やiPhoneで使う「iCloud」などがありますが、最近は勤怠管理においてもクラウド化が進んでいます。
導入コストはかかりますが、ガイドラインに沿った勤怠管理を実現しつつ、業務を効率化できる方法となります。
WEB勤怠管理システムのメリットやデメリット、導入に向いている企業についてはこちら!
▼WEB勤怠管理システムで正確・効率的な勤怠管理を!KING OF TIMEがおすすめ
クラウド勤怠管理システムを使うメリット
クラウド勤怠管理システムの利用には、大きく以下の3つのメリットがあります。
どこでも利用できる
インターネット環境さえあればいつでもどこでも利用できます。
テレワークや外回り、研修先等、社内にいなくても出退勤を記録することができ、打刻の記録をリアルタイムに共有することが可能です。
テレワークにおける勤怠管理の方法とポイントについてはこちら!
▼テレワークでの勤怠管理はどうする?3つの課題と解決方法を解説
配布・回収・集計の手間がない
クラウドで利用するため、紙のように配布・回収する手間がありません。
また、記録された打刻を元に時間集計も自動で行ってくれます。
紙の場合、社員数が一定以上になると配布・回収・集計の作業だけで時間がかかるうえ、紛失のリスクもあります。
一方、クラウド勤怠管理システムではそれらの作業がないため、締め日前後に業務が集中して慌ただしくなることもありません。
紙がないため、ペーパーレス化によるコスト削減や、文書保管のスペース削減も期待できます。
自動集計された値に対して「アラート(注意喚起)機能」を設定することもできるため、残業上限や有休取得義務に抵触しそうな従業員への素早いフォローが可能になります。
給与計算システムと連携できる
勤怠データをそのまま給与計算システムなど他システムと連携できる点もメリットです。
従業員一人ひとりの勤怠データを給与システムに手で入力すると時間がかかるうえ、ミスも起きやすくなります。
連携している給与ソフトであればワンクリックでデータを連携できる他、概ねの給与ソフトに合わせてデータを出力可能となっています。
クラウド勤怠管理システムを利用することで、早くて正確な処理を実現できます。
クラウド勤怠管理システムを使う際の注意点
クラウド勤怠管理システムを使うメリットをご紹介しましたが、利用を検討する際には以下の2点に注意する必要があります。
費用対効果が合うか
クラウド勤怠管理システムを利用するには、最初に発生するシステム導入費と、月々発生するシステム利用料が必要になります。
まずは、現状の勤怠管理方法でどれぐらいのコストがかかっているのかを洗い出したうえで、システムを導入した際の費用対効果をチェックすると良いでしょう。
ただし、この時考えるべき「コスト」とは単純に「タイムカードの用紙代」等物理的なものだけではなく、その作成や集計にかかる時間的コスト、担当者の時給等も勘案して算出するべきです。
従業員が使いやすいか
従業員が使いやすいかどうかも重要です。
クラウド勤怠管理システムを導入する際には、すべての従業員に操作方法を周知し、理解してもらう必要があります。
現状がアナログな管理方法である場合は、急に変更すると現場で混乱が起きるかもしれません。
スムーズに導入するためには、自社の従業員数やその属性を考慮した使いやすいシステムを選定し、丁寧な説明とフォローをすることが大切です。
クラウド勤怠管理システムの選び方
注意点を踏まえて、自社に合ったクラウド勤怠システムを選ぶ際のポイントをご紹介します。
自社の勤怠管理の方法に対応できるかどうかを見極める
システムを選ぶ際に最も重要なのは、自社の勤怠管理の方法に対応できるかどうかです。
勤怠管理の仕組みや就業規則は会社によって本当に様々で、自分たちでは普通だと思っている勤怠管理が実際には一般的ではないということは多々あります。
次に挙げるのは一例ですが、該当する場合はそのクラウド勤怠システムが対応しているかどうか特に注意してください。
- 日々の労働時間の計算が1分単位ではない(5分単位で端数処理など)
- 1日に休憩が複数回ある
- パート・アルバイトなど有給休暇が比例付与の人が多い
- 夜勤など日付をまたぐ勤務がある
- リフレッシュ休暇やアニバーサリー休暇のような独自の休暇制度がある
- 勤怠の承認作業に複数の人が関わる(本人→支店長→部長→労務担当など)
- 変形労働時間制を導入している
いくらシステム利用料が安価であったり、多機能であったりしても、自社で使えなければ意味がありません。
システムに合わせて勤怠管理の仕組みを変えるのも一つの方法ですが、勤怠は就業規則とも密接に関わっているため、まず就業規則から変えて……となるといつまでたってもアナログ勤怠管理から脱却するのが難しくなってしまいます。
多くのクラウド勤怠管理システムでは無料のトライアル期間が設けられているため、1つ1つ自分たちで設定をしてみて、自社の勤怠に対応可能かを確認するのがお勧めです。
オールマイティに対応できるクラウド勤怠システムは?
上記のような選定作業をするためには、深い労務知識と一定のITリテラシー、そして何より時間が必要になってきます。
そこまでの手間と時間をかけるのが難しい、そもそもどのクラウド勤怠システムにすればいいかわからない!という場合には、コムデックではKING OF TIME(キングオブタイム)をおすすめしています。
「KING OF TIME」は業界シェアNo.1を獲得しており、クラウド勤怠管理システムのスタンダードになっています。
前述の「自社独自のルール」にも幅広く対応でき、業種も問いません。
打刻方法も複数選べるため、前述の「従業員が使いやすいかどうか」も柔軟に検討することができます。
迷ったらこれ!と言えるクラウド勤怠システムとなっていますので、是非一度ご検討ください。
時間をかけられない場合は専門家に任せるのがおすすめ
「そうは言っても、自分たちで設定できるかどうか不安」という場合には、設定等を専門家に任せることも選択肢の一つです。
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クラウドを活用して適切な勤怠管理を行おう
勤怠管理は、従業員の給与と健康に直結する重要な業務です。
勤怠管理にはさまざまな方法がありますが、要点さえ押さえておけば人の手で管理するよりも、機械で管理する方が早くて正確です。
クラウド勤怠管理システムを使うことで、単純作業にかかる時間とミスが起こるリスクを減らし、より生産性のある活動に注力することを目指しましょう。
おすすめの勤怠管理システムについては以下の記事でまとめていますので、複数サービスを比較して自社に合ったシステムを選びたい方はぜひご覧ください。
▼勤怠管理システムおすすめ10製品を厳選して徹底比較【2023年最新】
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